失敗を数えたらキリがありません。レセプトで大きな査定を受けたり、請求書を間違えたり。
医療事務時代のぼくは、ミスの常連でした。
でも、いま総務の立場で振り返ると、あの頃の失敗はただのミスではなく成長の種だったのだと断言することができます。
反省することも大事ですが、「なぜうまくいったのか」を考えるほうが人は伸びる。それが今になってようやく分かってきました。
減点では人は育たない
病院という職場は減点文化が残っています。報告書、点検表、インシデントレポート、などなど。
そこに書かれるのは、だいたい「何が悪かったか」「再発防止策は何か」。もちろん大切なことです。けれど、そればかりでは人は育ちません。
失敗を恐れると人は挑戦しなくなります。
怒られないための行動が増え徐々に現場が萎縮していく。そして、そんな職場を見た上司が最近の若い子は元気がないと言う。それ、もう時代が違うんです。
指導とは叱ることではなく挑戦を見守ることだと思います。
「なぜ失敗したか」より「なぜうまくいったか」
ぼくは後輩や職員にこう言います。「うまくいった理由を考えてみよう」と。
成功した仕事には必ず再現できる理由があります。誰が、どんな流れで、どんな工夫をしたのか。それをチームで共有すれば同じ成功が繰り返せます。
一方で失敗の分析ばかりしても出てくるのは防衛策ばかりです。ミスをしないようにと慎重になるほど人は挑戦しなくなります。
でも本当の成長はその逆で挑戦と修正を重ねる中でしか得られないものなんです。
インシデント報告の本来の目的を思い出す
病院では、ちょっとしたミスでも報告書を書かされます。けれど、書類を増やすことが安全管理ではありません。
本当に大切なのは同じ失敗をどう防ぐかをチームで考えることです。誰が悪いかではなくどんな状況で起きたのか。視点を変えれば報告書は反省文ではなく改善のきっかけになります。
ぼくはよく言います。インシデントは書かなくていい。ぼくが責任を取るからと。小さなミスをいちいち反省で潰してしまうより「どうすれば成功できたか」を共有したほうがよほど意味があります。
「楽しく働く」は最強のリスクマネジメント
人は楽しく働いているときこそ集中しています。そして集中しているときミスは減ります。だからこそ楽しく働く環境をつくることは、結果的に最強のリスクマネジメントなんです。
真面目な人ほど自分を追い詰めてしまうものです。だからリーダーの役目は、余白をつくること。少し笑える職場のほうがきっと強いチームになります。
成長とは、挑戦の回数で決まる
失敗の数ではなく挑戦の数を数えたいと思っています。人は守っていても伸びません。やってみて、うまくいったときに「なぜうまくいったのか」を考える。
その繰り返しだけが個人も組織も前に進めるんです。
ぼくはこれからも加点方式で人を見ていきたい。誰かのミスを責めるより誰かの成功を仕組みに変える。それが令和のチームづくりだと思います。
減点ではなく、成長で回る職場を。ぼくはこれからも、そういう環境を選んで働いていきたいです。