警察勾留中の患者費用はどうなる。刑事課から電話

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病院で働いていると稀に警察の刑事課から勾留中の被疑者や被告人の処方を依頼されることがあります。要は逮捕中の患者さんの薬が欲しい。ってこと。

多くの場合は平日の日中に対応するので、病院側としても医事課の受付マニュアルやらで問題なく対応できます。しかし、長期連休中や夜間など対応できる職員が不在の場合もあります。

今回も、土曜日の夕方に外来看護師からヘルプ電話が入りました。

今回は忘備録を兼ねて警察勾留中の患者さんの対応について書いておきます。

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警察勾留中でも病院で処方は可能である

まずは結論から。

どのような場合であっても警察勾留中の患者さんに処方することは可能です。

病院側としては正しい処方(処方箋)で正しいレセプトを作成すれば問題ありません。その処方(処方箋)をどのように扱うかは警察の刑事が考えることです。

勾留中に処方が可能な理由は「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)」にあります。

第六節 保健衛生及び医療(保健衛生及び医療の原則)
第五十六条 刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとする。

詳しく知りたい人は以下もどうぞ

(診療等)
第六十二条 刑事施設の長は、被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、刑事施設の職員である医師等(医師又は歯科医師をいう。以下同じ。)による診療(栄養補給の処置を含む。以下同じ。)を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする。ただし、第一号に該当する場合において、その者の生命に危険が及び、又は他人にその疾病を感染させるおそれがないときは、その者の意思に反しない場合に限る。
一 負傷し、若しくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき。
二 飲食物を摂取しない場合において、その生命に危険が及ぶおそれがあるとき。
2 刑事施設の長は、前項に規定する場合において、傷病の種類又は程度等に応じ必要と認めるときは、刑事施設の職員でない医師等による診療を行うことができる。
3 刑事施設の長は、前二項の規定により診療を行う場合において、必要に応じ被収容者を刑事施設の外の病院又は診療所に通院させ、やむを得ないときは被収容者を刑事施設の外の病院又は診療所に入院させることができる。

どのような薬でも処方できるわけではない。原則はDo処方

勾留中の患者さんは警察と一緒に病院に来院するわけではありません。刑事さんが病院に電話問い合わせをしてきて刑事さんだけで来院されます。

医師は患者さんの状態もわからないのに処方はできません。かかりつけの患者さんに対して定期的に処方されているものを処方するだけです。

睡眠薬や胃薬など市販薬で対応できるものは処方などしないで対応しますし、ハイリスクの処方は行いません。

難易度の高い治療が必要であれば警察病院などに入院加療を行いその医師が対応します。

病院窓口での支払いは無し。刑事が支払うことはありません

刑事さんが病院の窓口で支払いをすることはありません。

勾留中の患者さん用のレセプトを作成が必要になります。このあたりは医事課に確認すれば詳しいでしょう。詳しくは「健康保険法 第百十八条」と「国民健康保険法 第五十九条」に書いてあります。

勾留中は患者さんの保険証を使用することはできません。公費負担となります。

刑事さんが詳しく書いている用紙を持ってくることが多いので困ることもないかもしれません。基本的には後日郵送でやり取りをします。

警察の刑事さんから電話でも慌てないで対応すれば良い

病院の職員であれば急変者や救急車の耐性はありますが警察には慣れていません。パニックにならないよう落ち着いて対応できるよう平時から院内スタッフへ周知ができると良いですね。

夜間や休日に対応方法がわからず混乱して携帯に電話が入る方が嫌ですから。少し大変ですが頑張って職員の教員を行いましょう。