病院の中でも残業時間が多い職場は決まっています。そんな中でも医療事務は残業が多い職種です。
レセプト点検で遅くまで残り、「今月もなんとか終わった…」と帰る。でも、それって本当に意味のある時間だったんでしょうか。
ぼくの考えは一貫しています。「レセプト残業なんてムダ」「医療事務で残業なんて人生がもったいない」「早く帰ろう」です。もちろん、全部の職場で実現できるわけじゃないかもしれません。
でも、だからといって現状に甘んじる理由にはならないと思うんです。今日はそんな仕事の働き方についてです。
まずは、“やらないこと”を決めてみる
全部やろうとすれば、どこかで破綻します。点検も同じ。10点・20点の請求に時間をかけていませんか?それで1件査定が減っても、1時間の残業代に見合うかは微妙です。
ぼくは、やるべきことを決めて、やらないことも決めました。その結果、残業時間は激減。査定率もちゃんと下がっています。
「少ない労力で最大の効果を出す」これが、生産性というやつです。
仕事は、いつだって現場から生まれるものです。
新しい病院に来て思ったのは、「決められた仕事を決められた通りにやってる」人が多いこと。でもね、仕事って“与えられる”ものじゃないと思うんです。
やってみて、考えて、また変えていく。フローを一から作るのは大変だけど、面白いんですよ。ぼくはこの半年、新しいレセプト点検の流れをゼロから作り直しました。
いろいろ試して、壊して、また作って。その結果、医事課全体で15%のコスト削減を見込めるところまできています。
レセコンって、まだまだ使える
レセコンには、まだ眠ってる機能がたくさんあります。昔の職場でもレセコンをいじっていた経験が、ここで役に立ちました。
オンラインマニュアルを何十ページも読み込んで、「何ができて、何ができないのか」を把握。点検フローのどこを自動化できるか、どうすれば省略できるかを洗い出しました。
今じゃたぶん、病院でいちばんシステムに詳しい。
残業を減らすと、現場にも経営にもメリットしかありません。レセプト点検期間中は、派遣スタッフに手伝ってもらっていました。昨今は派遣にかかる人件費コストも高くなっています
例 2,500円 × 10日間 × 3人 ≒ 600,000円
この60万円が、新しいフローによってまるごと不要になりました。これは、ただの時短じゃありません。病院経営にも効果のある改善です。
なんなら60万円があれば常勤も採用ができるしスタッフの給与アップもできるようになります。
次の課題は、「ぼくじゃなくてもできる」ようにすること
ここまで来て、ひとつの課題が見えてきました。後継者がいない。
今の医事課には、パソコンやシステムを扱える人が少ない。表計算ソフトを使える、ソフトをインストールできる、ログを見て不具合を把握できる――そのくらいのスキルがあれば、十分です。
今のうちに育てておかないと、自分しかできない仕事になってしまう。引き継ぎも急ぎたいところですね。
現場が変われば、働き方も変わる
「残業してでも全部見るべき」「今まで通りがいちばん安全」そういう考え方は、たしかに“守り”にはなるかもしれません。でも、現場から仕組みを変えていくことで、働き方も変わっていくんです。
コストは減らせる。残業は減らせる。ストレスも減る。そんなやり方を、担当者ひとりの工夫で作ることができる。
だからこそ、仕事は上司が作るものじゃない。現場で作っていくものなんです。医療事務の働き方は、もっと変えられます。
誰かが決めた正解をなぞるんじゃなく、自分たちで作っていく。その気持ちがあれば、きっと次のやり方が見えてきます。
難しいことはないです。ちょっと工夫して、ちょっと変えて、「早く帰れる日が増えたね」って言えるように――
今日も、現場から仕事をつくっていきましょう。