仕事をしていると、つい「成果」や「数字」に目が行きがちになります。特に総務職の役職者となればなおさら。でも、仕事って本当は「人」でできているんですよね。
そう思うようになったのは、40歳を過ぎてからかもしれない。今日はそんな個人的な仕事論について書いておきたいと思います。
役職がつくと、見えなくなるもの
立場が変わると、視点も変わる。
組織のこと、経営のこと、職員配置や人件費のこと——。
そうしたテーマを考える時間が増えるほど、「人の感情」からは距離ができていきます。
これは仕方のないことです。資本主義として厳しい環境を生き抜いていくにはのらりくらりとやっては淘汰されていきますからね。
それでも、毎日毎日、戦略会議や院長会議など、いかにも経営っぽい打ち合わせが続く日々に疲れていたのも事実です。
ぼくは数字を追うことや成果を出すことは嫌いじゃないと思っています。
でも、そこに温度がないと、だんだん息苦しくなります。
人事の調整も、結局は“人の感情”の延長線上にあるのだから。
厳しい判断をする上で人をどのように扱うかで人柄が滲み出てくるのです。
「愛される存在」であること
どんな肩書きがついても、ありがとうと言われる立場でいたいですね。どんなに偉くなろうとも忘れてはいけない。その方がずっと健全だと思います。
ぼくは、新卒だろうと他部署の非役職者だろうと、懇切丁寧に接していきたい。
立場で態度を変えるような人間にはなりたくない。
ふと、院内ですれ違った掃除のおばちゃんが笑顔で挨拶をしてくれた。
運転手のおっちゃんが「いつも助かってるよ」と声をかけてくれた。
そんな瞬間に、ぼくは自分の立ち位置を思い出す。
この1ヶ月、ブログを書かない間に、多くの「ありがとう」をもらった。それは派手な仕事の成果ではなく、ちょっとした声かけや配慮に対しての言葉だった。
その積み重ねこそが、職場をつくっていくんだと思う。
経営判断の先にあるもの
もちろん、経営的な思考も避けては通れません。会議では数字や方向性を示さなければならないし、責任も伴う。それがぼくに与えられているミッションですからね。
どんなに正しい判断をしたところで、実行してくれるスタッフがいなければ意味がない。
名監督であろうと選手のキャラクターを活かせなけければ勝つことはできない。
経営は机の上で完結しないものです。現場の人たちが動いてくれるからこそ判断が生きます。その当たり前を忘れないようにしたい。
今日も人と向き合うため
だからぼくは、今日も人と向き合う。
資料を作る前に、現場の声を聞く。
数字の前に、顔を思い出す。
仕事は人でできている。
そして、ぼくの仕事の原点は「ありがとう」の一言にある。
そう思えるうちは、まだ大丈夫だろう。