老健の赤字施設割合は 33.8%まで拡大。どうした介護報酬。

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福祉医療機構が面白いデータを出してくれました。

老健の3分の1が赤字運営をしているというものです。介護老人保健施設に限らず特別養護老人ホームも同じような割合で赤字になっています。

老健の赤字について考えてみました。

どうして老健は赤字になるのか。原因と理由。どうしたら赤字にならないようになるのか。改善と解決についてです。

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2021年度(令和3年度)介護老人保健施設の3分の1が赤字経営

資料のリンク(福祉医療機構)https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/230201_No009.pdf

以前の介護老人福祉施設は比較的赤字の少ない介護事業の一つでした。しかし2021年度は33.8%の施設が赤字で事業収益対事業利益率も2.9%と非常に少ない数字でした。

2022年はもっと厳しいと感じていますので来年の統計はどうなるか今から不安ですね。

本当の実際を知るには、この福祉医療機構が調査した1500施設以外の施設(全国に老健は4500施設ある)も考慮する必要がありますが本記事では考慮していません

入所平均利用率が88%だと運営は厳しいと言わざるを得ません

この表が面白いので個人的にはご飯3杯くらいはいけます。

最初に気になるのは利用率の低さです。入所88%と通所61%は低いですよね。ぼくの働いているところだと入所97%通所90%以上になります。

この割合で介護士などを人員基準を揃えていたら損益分岐点がおかしくなるのは目に見えています。病院も同じですがまずはベッドを埋めないといけませんね。

黒字と赤字の施設では人件費の違いが大きい。黒字がブラックなのかも。

この図は黒字施設と赤字施設で分けたものです。

この表から黒字施設も結構厳しい運営状況でなぁと感じました。平均なのでなんとも言えませんが黒字施設の数字で黒字になる理由がわかりませんでした。

6億円くらいの売り上げで人件費と経費などを計算してみると色々とわかりますね。あまり書きませんが結構厳しいです。

そして黒字施設の方が人件費率が低く10人当たりの職員数も低いです。これは黒字施設の方がサービスの質は低くて給料は少ないと言えます

黒字施設の黒字である理由は人件費率をケチっているから。介護士の給料問題も目に見えてきます。

老健の在宅復帰を頑張ると赤字なるという不思議。基本型が最適かもね。

介護老人保健施設は病院と在宅をつなぐ中間施設であり、国の方針としては在宅復帰を重視しております。これは10年ほど前の地域包括ケアシステムなどの2025年問題対策からずっと言われています。

そのための介護報酬改定などで在宅復帰にかかる点数配分を大きくしてきました。

2022年12月20日付の社会保障審議会介護保険部会では「介護保険制度の見直しに関する意見」が取りまとめられた。その中で老健は「在宅復帰・在宅療養支援の機能を更に推進していく観点から、必要な医療が引き続き提供されるよう取組を進めることが必要である」とありました。

つまり次の2024年の介護報酬改定でも在宅復帰にかかる点数には加点をしてくるでしょう。

しかし、今回の赤字施設を区分ごとに分けてみてみると基本型の施設が赤字率が低いのです。これはおかしいですよね。頑張って上位区分を算定するために人件費がかかって赤字になるのですから。

赤字率 基本型29.4% 加算型34/5% 在宅強化型35.7%

赤字率 基本型29.4% 加算型34/5% 在宅強化型35.7% となっています。

加算型や強化型を算定するにはそれなりに頑張る必要があります。9個の指標があり20点40点60点と高得点になるほど上位区分で算定が可能です。

しかし、上位区分で算定をするためには人員が必要です。相談員やリハビリには明確な人数が必要ですし、在宅復帰率を上げるためにはケアマネもそれなりに必要でしょう。

本日のまとめ

よくビジネスの世界では成功する理由や方法はたくさんあるけど、これをしたら失敗するというのは概ね決まっていると言われます。

今回のデータからもベッド数が少ないのは老健にとって大きな問題であることがわかりました。

ではどうしたらベッド利用率を上げることができるのか。ここをしっかりと考えていく必要があります。

自分の働いている施設の施設類型は何か、立地条件は都市部と地方か、単独型と併設型かなど、経営環境に応じて答えを見つけていかなくてはいけませんね。

お互いに頑張りましょう。