【12年ぶりプラス改定】それでも難しい改定率だと感じる理由

第3章 病院事務
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診療報酬の改定率が24日に正式に決定しましたね。本体と薬価を合わせた全体で2.22%のプラス改定となり、国費を1300億円押し上げる形になりました。

高齢化などで増加する医療費が一段と膨らみ、現役世代には保険料負担の増加圧力となります。ぼくたち医療従事者にとっては非常に難しい改定率となったというのが個人的な感想です。

病院経営にとって全体のプラス改定は2014年度以来12年ぶりとなるのは非常に喜ばしいことです。人件費分の増加もあり職員目線でも良いニュースとなります。

しかし、今回の改定率は厚生労働省と財務省の妥協の産物です。とても難しい日本の高齢化社会問題をとても頭のいい人たちが時間とお金を使って総崩れしないように工夫をしたものです。

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ダメならダメで、損切りして再構築をするのが合理的な判断

ぼくはそんなに複雑な物事を決定する立場にないので好き勝手に書いていますが、これだけぐちゃぐちゃになった日本の医療制度のかじ取りをできる人なんていないでしょう。

ならばガラガラポンでゼロベースにして再構築したほうが現段階にとっては最適な医療保険制度になるでしょう。多くの場合、損切りができないため最終的には損失が大きくなるものです。

しかし、そんなことはできませんからね。選挙でも勝てなくなるし必要以上の医療機関が倒産となり地方ではまともな医療体制なんてできなくなります。大混乱。

トランプ大統領でもやらんでしょう。

なぜ「難しい改定率」になったのか 損切りができない理由

今回の全体+2.22%/本体+3%超という数字は、

  • 改革したいほどの大胆さはない
  • でも、切り捨てるほどの冷酷さもない

というものです。損切りできなかった理由は以下の通りです。

① 政治的に再構築宣言ができない

  • 病院が減る
  • 医療空白が出る
  • 事故が起きる

これを政府が「想定通りです」とは、まだ言えない。


② どこまで壊れるか、誰も確信がない

  • 本当に限界なのか
  • もう1回持ちこたえるのか

壊れ方が読めない。だから国は、「一度、延命して様子を見る」を選びました。

③ 壊してから作るほどの代替案がない

もし損切りを選ぶなら、

  • 病院再編の設計図
  • 公的医療の再定義
  • 民間・資本の役割整理

が必要ですが、そこまでの完成度はまだない

現場視点からモヤモヤするのは国が明確な方向転換を避けたから

ぼくが感じている違和感は、

  • 「助けるのか、切るのか、どっち?」
  • 「頑張れば報われるのか、諦めた方がいいのか?」

この問いに、制度が答えていないからですね。

優秀なリーダーは方向性をはっきりと示して行動を決定する必要があります。そのメッセージを高市政権、厚生労働省、財務省からも感じることができません。

国は明確な方向転換を避けたと思っているからです。

病院再編を明示、公的医療の範囲を限定、民間委託統合を制度化などなどできることはたくさんあるように感じますけどね。

本日のまとめ

2026年診療報酬改定で人件費分に1.7%とあります。

しかし、この人件費分の補填がぼくたちの給与に返ってくるにはタイムラグあります。定期昇給がある病院は多いでしょうが期待している給与アップはもう少し先です。

早ければ夏くらいから加算ベースで追いついて手当として給与に反映される病院もあるでしょう。しかし期待しているほどの金額が増えません。

年収ベースでも目に見えて増える人の方が少ないでしょう。悲しいけどね。

だから今は、制度を待つより、自分たちで先に答えを作る時代になったということです。

お互いにがんばりましょう