介護事業所の倒産が過去最多を更新。どうして介護施設が倒産するの

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2022年の介護事業所の倒産は143件で過去最高を更新しました。

これまでは2020年の118件が最高でしたが一気に25件も更新してしまいました。

介護施設が倒産理由はいくつもあるのですが一番の原因は新規開業(小規模)が多いからです。これだけ高齢者が増えている昨今、倒産が多くなっている理由は供給過多なんですよね。

ぼくの働いている施設周辺にも多くの介護事業所があります。

しっかりと運営を行い、働いているスタッフもやりがいを感じ利用者さんも良い介護サービスを受けられるのであれば問題ありませんが中には悪い噂が入ることもあります。

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小規模の事業所は利幅の薄い介護事業には向かない。間接費の割合が高くなります。

介護事業所の収入は介護保険による収入(介護報酬)が主になります。

介護報酬は国が舵取りをしているので飛び抜けたサービスを行うことはできません。実施しても請求できないので(赤字になる)やりません。

これは医療報酬でも同じですね。美容整形外科などの実費は優秀な医師や経営者がいるところは売り上げを伸ばしていけます。

しかし医療報酬であれば新人の医師であってもベテラン医師であっても値段は同じです。

これって社会主義や共産主義に通づるものがあります。ここではあまり書きませんが、手術が失敗しても成功しても同じ金額がかかることも不思議ではありますね。

事務員などの間接コストを削減できる大手法人が勝てる仕組み

法人の人数が10人と1000人では削減できるコストがめちゃくちゃ違います。

10人の介護事業所でも事務員は必要です。車などの備品も必要です。従業員が多いほど利益が出る仕組みになります。

パソコンがあるので管理するのに10人と1000人の事務コストはあまり変わりません。外注は売上が少ないので利益が少なるだけです。

大きな法人になれば、管理会社や本部機能があり人事や経理の担当者がおります。建物管理の会社やリネンやクリーニングの洗濯業の会社や清掃や物品などの会社もあります。

オリジナルの感染用品(オムツやグローブ)を作成していたりもするでしょう。自前の商品を持っていることは自社内でお金を回しているので結果的に節税にもなります。

経理、財務、法務、人事、労務、経営企画、修繕、営繕、など施設運営に必要な間接費用を関連会社を作ることで利益は増えていきます。

日本で一番大きい医療法人の徳洲会も本部事務局を別法人で運営していますね。

今後も小規模事業所の倒産は高止まりをする。そもそも採用できない悪循環。

介護士の給料については処遇改善加算や特定処遇改善加算やベースアップ加算の算定の有無で大きく変わってきます。

これら加算は大きな介護事業所ほど上位の加算で算定ができますので、結果として介護士の給料にも差が生じできます。

介護士はどこも人手不足なので大きな会社が運営する介護施設に就職することも比較的簡単です。一般職の事務員が30歳を超えてから1部上場企業に転職するのと比べたら。

つまり、小さな介護事業所では介護スタッフを採用するのも一苦労なのです。

ぼくは同じ理由で病院で働く介護職の人は処遇改善加算などの恩恵を得られていないのでかわいそうだと思っています。

本人たちに介護施設に行けば年収がめちゃくちゃ上がるよ。とは言えないのでジレンマでもあります

本日のまとめ

介護事業所の倒産が100件を超えたというニュースで書いてみました。

世の中に悪影響を与えるブラックな会社はどんどん潰れても構わないと思う派ですが、現在の介護報酬や医療報酬では真面目にやっているところほど馬鹿を見るので難しい問題です。

小さくて新しいイノベーションやアイデアがあっても利益にならなければ事業を継続できません。そもそも優秀な人材や経営者が医療介護業界に目を向けません。

ヘルスケアの分野ではとても大きなお金が動いてアップルやGoogleもパイをとりに行っているのに日本政府の制度ががんじがらめにしているのでもったいない。

2020年も100件を超える予想みたいです。動向をおっていきます。

TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ
東京商工リサーチが長年蓄積してきた企業情報、倒産情報および公開情報等に基づき、独自の視点に立った分析をレポートにまとめて発表しています。