2024年の介護報酬改定の議論が進んでいますね。
介護報酬改定の流れを大まかに分けると前半(第1ラウンド)と後半(対2ラウンド)に分けることができます。
前半の第1ラウンドでは全体の大まかな流れを決めていき、後半の第2ラウンドでは詳細をつめていきます。
10月11日の社保審-介護給付費分科会で介護報酬改定の「基本的な視点」4つが出てきましたのでわかりやすく解説してみたいと思います。
まえがきに。介護報酬改定の意義について
団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年を迎えます。これまで介護報酬改定により、地域包括ケアシステムを推進してきました。
高齢者人口がピークを迎える2040年頃に向けて、更なる人口構造の変化やそれに伴う社会環境の変化が見込まれており、引き続き見直しが必要です。
また、生産年齢人口の減少が顕著となり、介護を含む各分野における人材不足が更に大きな課題となることが見込まれる中、物価高騰や賃金の引上げ、DX等の事業環境の変化も生じている。
こうした経済状況の新たな変化への対応も求められる。
1、地域包括ケアシステムの深化・推進
全ての高齢者が住み慣れた地域で「利用者の尊厳を保持」しつつ、質の高いケアマネジメントや必要なサービスが切れ目なく提供されるよう、地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組みを推進
この時点で結構無理ゲー感があります。
このタイミングなので地域包括ケアシステムを推進するのはわかりますが、すでに崩壊しつつある社会保障を含め人不足だしどうやるんでしょう。
2、自立支援・重度化防止を重視した介護サービスの推進
介護が必要になった者の尊厳を保持し、その有する能力に 応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要なサービスを提供す ることを目的
多職種が連携する取組を推進することとしたほか、アウトカム評価の 充実や、LIFE による科学的介護の推進も評価
他職種連携が必要なのはわかりますがここでも人不足の問題があります。
リハビリ・口腔管理・栄養管理の一体的取り組みを推進しておりますのでここは大事なポイントになります。
LIFEを活用した質の高い介護とありますが、LIFEが機能しているかどうか評価した方がいいと思うんですよね。
3、良質なサービスの確保に向けた働きやすい職場づくり
物価高騰や他業種の賃金引上げが進んで おり、介護分野からの人材流出も見られている。さらに、少子高齢化が進 行する中、今後、現役世代(担い手)の減少が急速に進むことが想定され ており、ますます人材の確保が厳しい状況
ここで人不足について記載がありました。
働きやすい職場環境づくりや柔軟なサービス提供の推進とありますが、どこまで体制を整えることができるのか難しいポイントです。
以前も書きましたがスケールメリットを活かした大規模法人に集約していかないと無理でしょう。小規模事業所に分散させすぎているし、介護スタッフだけでなく物品などの配送管理コストもあります。
介護ロボットやテレワークなどは大規模でないと難しいでしょう。
4、制度の安定性・持続可能性の確保
費用は大幅に増加している。少 子高齢化が進行し、介護ニーズが増大する一方で、現役世代の減少が進む ことが見込まれる中、制度の安定性・持続可能性を高める取組が引き続き求められる。
保険料・公費・ 利用者負担で支えられている介護保険制度の安定についてですが、社会保険料のバグはサラリーマンにとって大きな負担となっております。
これは診療報酬も同じ。
全員を3割負担にするべきなのか。マイナンバーと絡めて限度額を厳格化できるのか。個人的には最重要していかないと議論自体が進まないと思っています。
本日のまとめ
あらためて4つの基本方針を確認すると現在の介護保険がいかに難しい立ち位置にあるのか浮き彫りになってきました。
「超高齢化社会で大変」「人不足で大変」「財源不足で大変」となっておりました。
現段階で確実に有効なのは負担割合を1割でなく3割にすること。口座を隠蔽して限度額証を受給している対象者の厳罰化。など高齢者の負担増になりますが選挙もあるし踏み切れないでしょう。
つまり、いつもの介護報酬改定!
角が取れて丸くなる。面白くも有効性もない施策。現役世代が割を食う。このパターン。
たぶん大きく間違ってはいない結果になると思う。
プラス改定になるとは思いますがそれで喜んではいけませんね。プラス改定の中身を確認しておかないと実質どのようになるのか。
この4つの基本方針は決定しましたので次の議論で良い解決策が見出せると良いですね。