介護施設では利用者との契約書に押印は「省略可能」である

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河野太郎デジタル相が2023年2月21日の閣議後記者会見で、介護サービス事業者と利用者とが契約を交わす際の書類の押印について「省略可能」と明言されました。

介護施設における契約書の押印については2021年介護報酬改定で廃止にしても良いよ。だけどそれに変わるものでしっかりと対応してね。みたいな感じになりました。

でも多くの介護施設では「それに変わるもの」なんて意味不明だしそれで問題になるなら押印してもらったほうが良いよね。となりました。つまり変更なし。

それが今回の河野さんの発言によりしっかりと整備されていくことは介護施設の総務マンとしては非常に助かるなぁと感じましたのでもう少し詳しく書いてみたいと思います。

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介護施設では契約書に押印は不要である。令和3年度介護報酬改定で文書の捺印が不要となった

2021年の介護報酬改定時に大きく話が進みました。簡単に話をまとめると介護施設での契約に印鑑は必要無いよ。となりました。

ちょっとだけ詳しく書くと印鑑が不要になったのは施設職員の業務負担の軽減を目的になります。

厚労省の文書を読むと以下のようになります。

  1. 書面で説明同意等を行うものについて電磁的記録による対応を原則認めること
  2. 利用者等の署名押印について求めないことが可能であること
  3. その場合の代替手段を明示するとともに様式から押印欄を削除する

様式例から押印欄を削除するとあるように、署名捺印すべてが不要になったということではありません。

ここが少し難しいところ。捺印をいただくことは不要であると明記されていますが「代替手段を明示するとともに」とあるように何かしらの形で当該文書に同意の証拠としての署名は必要です。

あー難しい。

介護事業所の書類の捺印が不要に。電子サインなど新たな方法について
今まで大きな負担であった紙媒体での署名と捺印や記録の保存を大幅に軽減できることが期待される電子データ、電子サインを活用といった新たな対応について、介護事業所はどのような方法が有効であるかを解説します。

デジタルサイン、デジタルハンコが必要になるくらいならそのままで良い

それを可能にするには介護事業所がクリアしなければならない課題が生じます。

それは捺印が不要になった契約書や重要事項説明書といった利用者、家族への説明と同意が必要な文書に対しどのようにして同意の意思を確認するための署名を得るかという点です。

改正にも書かれている通り「代替手段の明示」が必要であり、その方法は「電子署名が望ましい」とも明記されています。

つまり、電子署名という方法があることを明示して同意を得ることができれば紙媒体への署名捺印は不要となります。

多くの介護事業所にとって電子署名を整備することは予算的にも難しいんじゃないかな。

契約書における連帯保証人にも印鑑は不要

この流れでいくと一番問題となる可能性があるのが連帯保証人です。未収金対策として連帯保証人欄を設けて記載させているケースがあります。

多くの病院でも求めている記載になりますね。

この部分はどうなんだろうと気になって調べてみたら連帯保証人にも署名があれば押印は不要であることがわかりました。知らなかった。

そもそも未収金にならないように確実に支払ってくれれば良いんですけどね。

また連帯保証人を記載してもらっても未収金問題は解決していないので書いたからなんだって話でもあります。支払わない人はどんな場合も支払わない。

未収金回収はめちゃくちゃ大変。

本日のまとめ。慣例の変化のタイミングかもしれませんね

ぼくは昭和の人間なので大事な書類には印鑑が必要な気がしてしまう。

だけどなんで印鑑が必要なのか説明はできませんからね。実印なら違うのでしょうが日常的には普通の認印ですからね。

ネット銀行には印鑑なんてありませんし、格安SIMを含む携帯の契約にも印鑑は不要です。

認印なんておまじない的なもので実質的な意味なんてありませんからね。

これからの未来にどのようなものが出てくるかわかりませんが無駄なものは無駄と割り切ることは重要です。印鑑廃止が良い方向に向かうと良いですね。