地域包括ケア病棟入院料の算定する上限は60日になります。
患者さんが入院してから退院するまでの上限60日の間に退院先をはっきりさせておく必要があります。
しかし、中には退院先が決まらなかったり退院直前に病気が再発してしまったりと様々な都合で60日を超えてしまう患者さんもいます。
そんな時、地域包括ケア病棟ではどのように算定したらいいのでしょうか。
また地域包括ケア病棟で60日を超えた場合はどのくらいの減収になるか勉強してみたいと思います。
2018年診療報酬改定では取り扱いに変更点はありませんでした。
引き続き60日はキーポイントになりますね。
地域包括ケア病棟で60日を超えた時は特別入院基本料になります。
最初に答えを書いておきます。
地域包括ケア病棟で60日を超えた時は特別入院基本料で算定することになります。これは診療点数早見表にも書いてありますので確認してみましょう。
注1の中にありますが長いので抜粋します。
注1
当該病棟又は病室に入院した日から起算して60日を限度としてそれぞれ所定点数を算定する。ただし、当該病棟又は病室に入院した患者が地域包括ケア病棟入院料又は地域包括ケア入院医療管理料に係る算定要件に該当しない場合は、当該病棟又は病室を有する病棟が一般病棟であるときには区分番号A100に掲げる一般病棟入院基本料の注2に規定する特別入院基本料の例により、 当該病棟又は病室を有する病棟が療養病棟であるときには区分番号A101に掲げる療養病棟入院料1の入院料I又は療養病棟入院料2の入院料Iの例により、それぞれ算定する。
この地域包括ケア病棟入院料又は地域包括ケア入院医療管理料に係る算定要件に該当しない場合というのが60日を超えた場合などを言います。
よくわかりませんが、確かに60日を超えた場合は区分番号A100に掲げる一般病棟入院基本料の注2に規定する特別入院基本料になると書いてありますね。
療養病棟の場合は少し違います。区分番号A101に掲げる療養病棟入院料1の入院料I又は療養病棟入院料2の入院料Iで算定します。
ぼくが働いている病院ではそれでは区分番号A100に掲げる一般病棟入院基本料の注2に規定する特別入院基本料がどんなものなのか確認しておきましょう。
特別入院基本料は点数584点と地域包括ケア病棟入院料に比べるととても低いです。
調べてみたらビックリしました。
地域包括ケア病棟は地域包括ケア病棟入院料1を算定する場合は2738点/1日となります。そのほか、入院初期加算などが算定可能となるので3000点以上となります。
ここでは話を分かりやすくするために3000点とします。地域包括ケア病棟入院料は60日を経過するまで毎日3000点が算定できます。
それに対し退院先が見つからないなど60日を超えた場合は特別入院基本料を算定することになります。
これも診療点数早見表を確認しておきましょう。A100一般病棟入院基本料の中です。
注1に規定する病棟以外の一般病棟については、当分の間、地方厚生局長等に届け出た場合に限り、当該病棟に入院している患者(第3節の特定入院料を算定する患者を除く。)について、特別入院基本料として、584点を算定できる。
点数が引くですね。3000点が584点に減ってしまいます。
病院としては同じことができるのに大きな損失になってします。
2000点以上の減算になるので60日を超えて算定するようなことがないように退院先の調整は必須ですね。
3000点が584点に減りますが、特別入院基本料は出来高算定が可能ですので検査などを多発すればその差は小さくなるかもしれません。
しかし、地域包括ケア病棟で60日を超えるような患者さんは処置や検査を多くする必要はないことが多いです。
退院先が見つかるまでは病院としては584点という低い点数にベットを充てておく必要があります。次の受け入れ先を早急に見つけてもらい退院してもらうのが最大のミッションとなります。
ちなみに療養病棟だったら区分番号A101に掲げる療養病棟入院料1の入院料I又は療養病棟入院料2の入院料Iとして814点もしくは750点となります。
地域包括ケア病棟で60日を超えてしまうと特別入院基本料で算定する必要があります。しかし特別入院基本料は点数配分が低いので算定するメリットは皆無です。
地域包括ケア病棟では60日のコントロールは重要になります。
ベットコントロールや退院先の調整は医事課の仕事ではありませんが、減収になる事を考えれば機関が迫っている患者さんがいる場合は医事課からも注意喚起を行っても相談室など調整部門をつつくのも大事ですね。
☑️60日を超えた時は特別入院基本料で算定することになります。
☑️特別入院基本料は584点を算定する。とても低い点数です。
☑️療養病棟の場合は814点もしくは750点。
☑️地域包括ケア病棟は3000点以上を算定できる。
☑️60日を超えた患者さんに多くの検査などは実施しない。
☑️相談室に早めの対応をしてもらい収益減少を食い止める。