透析について勉強しようとして診療点数早見表を確認しても項目がなくて困ったことがある人はぼくだけじゃないでしょう。
カルテにもHD(Hemodialysis)なんて書かれているので透析で間違いないハズなのに診療報酬では処置の人工腎臓の項目となります。J038です。
今日は透析について書いてみました。透析はなかなか難しいですよね。J038人口腎臓の算定方法、包括項目や加算についてなるべく簡単にまとめてみたいと思います。
J038人工腎臓(1日につき)・HD透析の算定方法について
まずはJ038人工腎臓について診療点数早見表を確認しておきましょう。
また透析は処置ですが回復期リハビリ病棟は地域包括病棟などの包括病棟でも算定することが可能です。
入院料は2500点くらいになりますので合計すると5000点近い点数になります。これは大きい!!しっかりと勉強します。
J038 人工腎臓(1日につき)
- 慢性維持透析を行った場合1
イ 4時間未満の場合 1,980点
ロ 4時間以上5時間未満の場合 2,140点
ハ 5時間以上の場合 2,275点- 慢性維持透析を行った場合2
イ 4時間未満の場合 1,940点
ロ 4時間以上5時間未満の場合 2,100点
ハ 5時間以上の場合 2,230点- 慢性維持透析を行った場合3
イ 4時間未満の場合 1,900点
ロ 4時間以上5時間未満の場合 2,055点
ハ 5時間以上の場合 2,185点- その他の場合 1,580点
なかなかの高得点です。
施設基準の差で1、2、3、4になります。自分の働いている病院がどの算定区分になるかしっかりと確認しておきましょう。
2の方が基準が厳しいのに点数が少ないのは大型の透析センターでは業務効率化による費用などの圧縮ができるからだそうです。
以下は厚労省の資料です。
詳しく知りたい人は全部のPDFです。ファイルサイズが大きいのでスマホの通信量に注意してください。
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197984.pdf)
それぞれの施設基準について確認しておきましょう。
慢性維持透析を行った場合1の施設基準について
- 透析用監視装置の台数が26台未満 又は
透析用監視装置1台あたりのJ038人工腎臓の算定患者の割合が3.5未満 - 水質管理の実施
- 透析機器安全管理委員会を設置し、専任の医師又は専任の臨床工学技士が責任者として1名以上配置
慢性維持透析を行った場合2の施設基準について
- 透析用監視装置の台数が26台以上 及び
透析用監視装置1台当たりの透析実施患者数の割合が3.5以上4.0未満 - 慢性維持透析を行った場合1の施設基準と同じ
- 慢性維持透析を行った場合1の施設基準と同じ
慢性維持透析を行った場合3の施設基準について
上記、1、2に該当しない医療機関。
その他の場合
これは臨時的に行った場合などに算定する項目になります。
急性腎不全の患者さんに行なった場合、透析導入期に行なった場合、などがあります。
透析の加算項目について。J038人工腎臓では多くの加算があるので注意をしましょう。
その他の加算も多くあります。
透析については予防をして透析患者を減らそうと言う施策がありますが、なかなかうまくは行かない部分もある中で加算の部分で補正してきた印象がありますね。
本体部分を厳しくして加算部分で補正。
透析、J038人工腎臓の加算は以下の通りです。
- 時間外・休日加算 380点
- 導入初期加算1 300点
導入初期加算2 400点 - 障害者等加算 140点
- 透析液水質確保加算 10点
- 下肢末梢動脈疾患指導管理加算 100点
- 長時間加算 150点
- 慢性維持透析濾過加算 50点
これらの加算は全てが算定できるわけではありません。病院や患者さんに応じて算定できる項目が変化するので注意が必要ですね。
もう少し詳しく書いておきます。
時間外・休日加算
時間外に透析を実施した場合は時間外の加算が算定できます。
時間外・休日加算 380点
入院中の患者以外の患者に対して、午後5時以降に開始した場合若しくは午後9時以降に終了した場合又は休日に行った場合は、時間外・休日加算として、380点を所定点数に加算する。
注意事項としては、以下の項目とは併せて算定ができません。
- 処置の通則5の時間外加算
- A000初診料の注9の深夜・早朝等加算
- A001再診料の注7の深夜・早朝等加算
時間外・休日に関する考え方が通常と少し番うところに注意が必要ですね。
導入初期加算
導入初期加算は導入したら最初はいろいろと大変だから多く点数を上げるよ。ってものです。導入初期加算1と2に別れています。
導入初期加算1 300点
導入初期加算2 400点
導入期加算として、導入期1 月に限り1日につき、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 導入期加算1 300点
ロ 導入期加算2 400点
導入初期加算の注意事項としては、どんな病院でも算定できるものではなくて施設基準にに適合している必要があります。
施設基準について導入初期加算1はゆるいです。2についても多くの病院で算定できるのではないでしょうか。
イ 導入期加算1の施設基準
関連学会の作成した資料又はそれらを参考に作成した資料に基づき、患者毎の適応に応じて、腎代替療法について、患者に対し十分な説明を行っていること
ロ 導入期加算2の施設基準
- 導入期加算1の施設基準を満たしている
- C102在宅自己腹膜灌流指導管理料を過去1年間で12回算定以上算定
- 腎移植の推進に係る取組の実績がある(過去2年で1人以上)
障害者等加算
透析を行う患者さんの中には人工腎臓を行うことが困難な人もいます。そのような人に対し実施した場合の加算になります。
障害者等加算 140点
どんな患者さんかと言うと、障害者基本法にいう障害者や精神保健福祉法の規定によって医療を受けるものなど多くの項目があります。
透析液水質確保加算
以前は1と2に分けられていましたが一つにまとめられました。点数も引き下げです。透析を行う病院であれば水質確保は当然行なってね!と言うメッセージでしょうか。
全員に算定できるものですので基本点数に含まれる流れでしょう。
透析液水質確保加算 10点
下肢末梢動脈疾患指導管理加算
人工腎臓を実施している患者に係る下肢末梢動脈疾患の重症度等を評価し、療養上必要な指導管理を行った場合には、下肢末梢動脈疾患指導管理加算として、月1回に限り所定点数に100点を加算する。
注意点はこれら重症度を評価するのは自分の病院で行う必要があります。他院にABI検査やSPP検査を依頼した場合は算定ができません。
長時間加算
通常の透析では管理が困難な患者さんに対し6時間以上行なった場合に算定が可能です。
ア 心不全徴候を認める又は血行動態の不安定な患者
イ 適切な除水、適切な降圧薬管理及び適切な塩分摂取管理を行っても高血圧が持続する患 者
ウ 高リン血症が持続する患者
長時間加算 150点
慢性維持透析濾過加算
慢性維持透析濾過(複雑なもの)が廃止されてとして新たに算定が可能になった項目です。
透析液から分離作成した置換液を用いて行なった場合に算定が可能です。
慢性維持透析濾過加算 50点
人工腎臓の査定や返戻対策。透析で注意するポイント。本日のまとめ
透析は細かく定められているのでしっかりと読み込めば査定になることはありません。
使用可能な項目も書いてあります。検査で少し査定になる項目がありますがこればかりは仕方ないです。
細かくルールを設けているので、ぼくの嫌いな医学的判断による意味不明な査定や返戻があまりないのです。
なので、しっかりと診療点数早見表を読み込もう!ってことになります。