運動器リハビリテーションの適応病名。消炎鎮痛処置は併算定不可!

H第7部 リハビリテーション
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運動器リハビリテーションは整形外科を標榜している病院であれば多く算定するリハビリ項目になります。ぼくの働いている病院でも多くの運動器リハビリテーションを算定しています。

基本的に運動器リハビリテーションは査定や返戻になることが少ないです。

ほんの
ほんの

医療事務にとってはありがたい算定項目!!

なのですが、先日レセプト点検で「J119消炎鎮痛等処置」と「H002運動器リハビリテーション料」を同日に算定しているレセプトを発見しました。

今日の結論から書いておくと、タイトルにもある通り「J119消炎鎮痛等処置」と「H002運動器リハビリテーション料」は併算定はできません

運動器リハビリテーションを算定時のレセプトに必要な適応病名や注意事項についてまとめておきます。

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運動器リハビリテーションについて

まずは医療事務必須の診療点数早見表を確認しておきましょう

H002 運動器リハビリテーション料

  1. 運動器リハビリテーション料(Ⅰ)(1単位)185点
  2. 運動器リハビリテーション料(Ⅱ)(1単位)170点
  3. 運動器リハビリテーション料(Ⅲ)(1単位)85点

運動器リハビリテーションは1〜3に分かれておりそれぞれ点数が違います。

施設基準により算定点数が違うので医療事務の努力で多くの点数が取れるものではありません。病院がどの運動器リハビリテーション料を算定しているか確認しておきましょう。

また、運動器リハビリテーションには別に加算があります。

  • 早期リハビリテーション加算:1単位につき30点(30日)
  • 初期加算         :1単位につき45点(14日)

これは手術又は急性増悪から起算します。その都度算定が可能です。

上限もあり手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から150日を限度として所定点数を算定すると定められています。

他にも介護保険を使用している人などについては減算規定などもあります。

関連記事:リハビリの減算規程(100分の90)が2016年10月1日から適用開始。要介護被保険者。

運動器リハビリテーションの適応病名

運動器リハビリテーションの適応病名は、骨折、関節症、腱損傷、頚椎症、など多くの病名が対応となっています。基本的にレセプト病名で査定になる可能性は低いでしょう。

単純に肩関節症でも査定されませんでした。

レセプトのコメント欄に開始日と適応病名の記載を忘れないようにしましょう。ここがレセプトの開始日と差異があると突っ込まれます。

困った時はレントゲンの部位に〇〇症でOKです。膝のレントゲンを撮っていたら膝関節症って具合です。

ほんの
ほんの

運動器リハビリテーションの適応病名は幅広いです。

運動器リハビリテーションと消炎鎮痛処置は併算定不可。

タイトルにもある通り「J119消炎鎮痛等処置」と「H002運動器リハビリテーション料」は併算定は不可能です。一緒に算定はできません。

計算を間違えてしまった担当者に確認をしたところ

不思議に思ったけど診療点数早見表に書いてなかったので算定しました。

と言っていました。

たしかに「J119消炎鎮痛等処置」と「H002運動器リハビリテーション料」どちらにも併算定がダメなんて書いてありません。

詳しく確認していきましょう。

「J119消炎鎮痛等処置」

困ったときは診療報酬早見表を確認してみましょう。

1 1から3までの療法を行った場合に、療法の種類、回数又は部位数にかかわらず、本区分により算定する。

2 同一の患者につき同一日において、1から3までの療法のうち2以上の療法を行った場合は、主たる療法の所定点数のみにより算定する。

3 3については、診療所において、入院中の患者以外の患者に対し、半肢の大部又は頭部、頸部及び顔面の大部以上にわたる範囲の湿布処置が行われた場合に算定できる。

4 区分番号C109に掲げる在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定している患者に対して行った消炎鎮痛等処置の費用は算定しない。

ここでダメって書いてあるのは在宅寝たきり患者処置指導管理料を算定した場合だけです。

あとは参考として消炎鎮痛処置とトリガーポイント注射も併算定はできません。

「H002運動器リハビリテーション料」

ちょっとブログに書くには多すぎるので各自で参照してください。結論だけ書いておくとどこにも書いてありません。

運動器リハビリテーションと消炎鎮痛処置は併算定不可ってどこに書いてあるの?

ちゃんと書いてあります。計算を間違えてしまった担当者もここまでは読まなかったみたいです。おしい!もう少しでした。

書いてあるのはリハビリテーションの通則です。通則の5番に書いてあります。

ほんの
ほんの

後ちょっと読み込めば正解が発見できました。惜しい!!

区分番号J117に掲げる鋼線等による直達牽引(2日目以降。観血的に行った場合の手技料を含む。)、区分番号J118に掲げる介達牽引、区分番号J118-2に掲げる矯正固定 、区分番号J118-3に掲げる変形機械矯正術、区分番号J119に掲げる消炎鎮痛等処置、区分番号J119-2に掲げる腰部又は胸部固定帯固定、区分番号J119-3に掲げる低こう出力レーザー照射又は区分番号J119-4に掲げる肛門処置を併せて行った場合は、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテー ション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、がん患者リハビリテーション料、集団コミュニケーション療法料又は認知症患者リハビリテーション料の所定点数に含まれるものとする。

ね、書いてあるでしょう。

読みにくいので箇条書きにしておきます。

  • J117に掲げる鋼線等による直達牽引
  • J118に掲げる介達牽引
  • J118-2に掲げる矯正固定
  • J118-3に掲げる変形機械矯正術
  • J119に掲げる消炎鎮痛等処置
  • J119-2に掲げる腰部又は胸部固定帯固定
  • J119-3に掲げる低こう出力レーザー照射
  • J119-4に掲げる肛門処置

これらの処置を実施していた場合は、以下のリハビリテーションは算定できません。

  • 心大血管疾患リハビリテーション料
  • 脳血管疾患等リハビリテーション料
  • 廃用症候群リハビリテー ション料
  • 運動器リハビリテーション料
  • 呼吸器リハビリテーション料
  • がん患者リハビリテーション料
  • 集団コミュニケーション療法料
  • 認知症患者リハビリテーション料

本日のまとめ

通則って意外と読み忘れることが多いです。

大事なことだから通則に書いてあるんですが項番をチェックしちゃいます。

まぁ計算を間違えた担当者も同じ間違いはしないでしょう。少しずつでも勉強して行けるといいですね。

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