地域包括ケア病棟入院料を算定するにあたり在宅復帰率70%以上にしないといけないというルールがあります。
地域包括ケア病棟入院料は全部で8種類の入院料に分かれていますが、どの入院料を算定するにしても在宅復帰率70%以上のルールは守らなくてはいけません。
ここがクリアできていなければ施設基準を満たしていないので算定はできません。
ぼくの働いている病院でも在宅復帰率70%という数値は必達項目の一つです。いまではなんとかクリアしています。
今日は地域包括ケア病棟入院料を算定するにあたり施設基準のひとつである在宅復帰率70%について詳しくまとめてみました。
入院料を算定するには多くの施設基準や算定ルールがあり混乱しそうになりますがひとつひとつやっていきましょう。
地域包括ケア病棟入院料の在宅復帰率は70%以上でないといけない
これは地域包括ケア病棟入院料を算定するにあたり必須条件です。
基本診療料の施設基準に書いてありますので確認しておきましょう。
みんな大好き診療点数早見表の後ろの方です。
11の2 地域包括ケア病棟入院料の施設基準など
(2)地域包括ケア病棟入院料1の施設基準
ロ 当該病棟において、退院患者に占める、在宅等に退院するものの割合が七割以上であること。
(3)地域包括ケア入院医療管理料1の施設基準
イ 当該病室において、退院患者に占める、在宅等に退院するものの割合が七割以上であること。
あとは入院料2以降も同じなので省略します。
つまり地域包括ケア病棟入院料を算定するには在宅復帰率が大事なポイントになってきます。担当者であれば在宅復帰率70%は常に意識しておかないといけない数字です。
もしも在宅復帰率が70%を下回ってしまったらどうなる?在宅復帰率の計算方法について。
在宅復帰率70%というのがとても大事な数字であることはわかりました。でもその必達項目である在宅復帰率70%以上を満たせなかったらどうなるのでしょうか。
病院運営では退院調整をしても難しくなる可能性も十分にあります。患者さんの容態や家族都合などで在宅に復帰できない患者さんがたまたま重なるかもしれません。
そうなったら地域包括ケア病棟入院料を算定することができないのでしょうか。どのタイミングで計算する必要があるのでしょうか?
在宅復帰率の計算方法です。
これも診療点数早見表の施設基準のページに書いてありますね。
(2)当該病棟から退院した患者数に占める在宅等に退院するものの割合は、次のアに掲げる数をイに掲げる数で除して算出する。
ア 直近6か月間において、当該病棟から退院又は転棟した患者数(第2部「通則5」に規定する入院期間が通算される再入院患者及び死亡退院した患者を除く。)のうち、 在宅等に退院するものの数
イ 直近6か月間に退院又は転棟した患者数(第2部「通則5」に規定する入院期間が通算 される再入院患者及び死亡退院した患者を除く。)
「ア」÷「イ」で求めることができます。
これが70%以上であればOKです。
10人のうち7人が在宅に退院することが地域包括ケア病棟入院料を算定する上で必要になるわけですね。
1ヶ月であわてる必要はないってことですね。
そもそも在宅復帰率の「在宅」ってなんだ?退院先によって考え方が変わるので要注意ですね。
在宅復帰率なんて気軽に書いてありますが、そもそも在宅復帰率における「在宅」の定義とはなんでしょうか?自宅だけなの?
こちらもしっかり確認しておきましょう。
これも診療点数早見表に書いてあります。
(1) 地域包括ケア病棟入院料に係る在宅等に退院するものとは、次のアからウまでのいずれにも該当しない患者をいう。
ア:他の保険医療機関に転院した患者
イ:介護老人保健施設に入所した患者
ウ:同一の保険医療機関の当該入院料にかかる病棟以外の病棟への転棟患者
例によってよくわかりません。難しい書き方なのでぼくなりに簡単に書いておきますと
- ア:他病院へ入院する場合
- イ:老健施設へ入所する場合
- ウ:自院の他病棟へ転棟する場合
となります。
なので、上記以外の場所へ退院する場合は「在宅」と考えることになります。
もっと簡単に考えてしまえば医師の有無によって判断してもいいですね。医師がいるとこへ行く場合は在宅ではありません
本日のまとめ。在宅復帰率70%を達成するために現場では多少の無理も生じている。
本日の結論として、地域包括ケア病棟入院料を算定するには在宅復帰率が70%以上でなくてはいけません。
この必須の数字があることで、現場では在宅復帰率を上げるためには無理も生じているのも事実ですね。
だって70%以下になってしまったら地域包括ケア病棟入院料を算定することができなくなります。そうしたら病院運営上利益が上がらなくなります。
なので無理は承知で無理やり在宅に退院させるようなことも起こってくるでしょう。
ここは今後の問題点として上がってくる部分ですね。