悪性腫瘍特異物質治療管理料と腫瘍マーカー検査の算定について。レセプトの注意事項。

B第1部 医学管理等
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悪性腫瘍特異物質治療管理料と腫瘍マーカーの算定については同じ項目なのに医学管理と検査で算定することがあります。

レセプトでも査定や返戻の多い部分ですね。

とても難しいです。

理解しているようでも診療点数早見表を読むと「あっ!そうか。」ってなる部分がたくさんあります。

悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定する時は名前の通り悪性腫瘍の管理に対する点数になりますので癌の確定病名があるときに算定が可能です。

なので、癌病名が確定していない患者さんに対して悪性腫瘍特異物質治療管理料の算定はできません。

この場合は検査で算定することになります。これが今日の結論になります。

悪性腫瘍特異物質治療管理料と腫瘍マーカーの算定について詳しく書いてみたいと思います。

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悪性腫瘍特異物質治療管理料と腫瘍マーカー検査の算定について。癌病名の有無がポイントですね。

癌を疑う患者には悪性腫瘍特異物質治療管理料は算定できません

では癌病名が確定していない時の算定方法はどうしたらいいのでしょうか?

逆のパターンもあります。癌が確定している患者さんに腫瘍マーカー検査を行うこともできません

指導している新人医療事務員も多くがここで戸惑いますね。ここが難しい。悪性腫瘍特異物質治療管理料は癌が確定している患者に対する管理料になります。

つまり癌が確定していない疑いの時は算定できません。

  • 未確定の疑い患者さんは→【腫瘍マーカー検査料+判断料+採血料】で算定します。
  • 確定している患者さんは→【悪性腫瘍特異物質治療管理料】のみで算定します。

文字にして書くとこれだけ。

でも実際の計算している時に発生してくると混乱しちゃいますね。ポイントは癌病名があるかどうかです。

レセプト点検の時もここに注意すれば大丈夫。

・癌が確定 →【悪性腫瘍特異物質治療管理料】
・癌が未確定→【腫瘍マーカー検査料+判断料+採血料】

悪性腫瘍特異物質治療管理料とは

B001_3 悪性腫瘍特異物質治療管理料について診療点数早見表を確認しておきましょう。通知まで含めると長いので抜粋します。

イ) 尿中BTAに係るもの 220点
ロ) その他のもの
(1) 1項目の場合    360点
(2) 2項目以上の場合  400点

尿中BTAに係るものについては働いている病院では算定していません。

いろいろと診療点数早見表には書いてありますが、大事だと考えているのは以下の4つです。それ以外はそこまで必要じゃない。と思っています。

  1. 腫瘍マーカーと採血の費用は点数に含まれている。(注5)
  2. 月一回を限度して算定。            (注1.2.3)
  3. 上記イとロを実施していたらロで算定する。   (注4)
  4. 初回月に限り150点を加算できる。ただし前月に腫瘍マーカーの算定をしている場合は算定できない。(通知4)

それ以外は頭の片隅に入れておけばOKです。

初診の患者さんなどで確定病名になるか判断ができない場合の腫瘍マーカー検査について

この算定方法には問題もあります。

初診の患者さんなどで、癌病名が確定するかわからない患者さんもいます。

中規模病院では採血検査を(簡単な生化学検査を除き)外部委託をしているのでどうしても結果は後日になります。病理医が常駐している病院はそんなに多くないです。

初診時の会計では未確定の疑い患者さんとして【腫瘍マーカー検査料+判断料+採血料】で会計をします。

本来であれば後に確定病名と判断できれば【腫瘍マーカー検査料+判断料+採血料】で算定した金額を返金して悪性腫瘍特異物質治療管理料を請求するのが正しい方法です。

レセプト修正のみで対応している病院がほとんどだと思いますが…。患者さんに悪性腫瘍特異物質治療管理料と腫瘍マーカー検査の違いを説明をして100円の精算をするのは非効率ですからね。

ちゃんと返金している病院ってあるのかなぁ。

肺がんが確定して悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定している患者さんに胃がんの腫瘍マーカー検査を実施した場合はどうする?

ここも難しいポイントですが、肺がんのために悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定している患者さんに胃がんなど他のがんをチェックするために腫瘍マーカー検査を実施した場合はどうするのでしょうか。

正解は悪性腫瘍特異物質治療管理料で算定をします。

これは診療点数早見表にも書いてありますね。特殊な場合を除き悪性腫瘍特異物質治療管理料で算定することになります。

検査の腫瘍マーカーのところです。以下の4項目については癌病名が確定していたとしても検査として算定することが可能です。

D009 腫瘍マーカー 通知

  • ア 急性及び慢性膵炎の診断及び経過観察のために「7」のエラスターゼ1を行った場合
  • イ 肝硬変、HBs抗原陽性の慢性肝炎又はHCV抗体陽性の慢性肝炎の患者について、「3」のα-フェトプロテイン(AFP)、「9」のPIVKA-Ⅱ半定量又は定量を行った場合(月1回に限る。)
  • ウ 子宮内膜症の診断又は治療効果判定を目的として「11」のCA125 又は「24」のCA602 を行った場合(診断又は治療前及び治療後の各1回に限る。)
  • エ 家族性大腸腺腫症の患者に対して「2」の癌胎児性抗原(CEA)を行った場合

本日のまとめ

腫瘍マーカーや悪性腫瘍特異物質治療管理料の算定は査定になることが多い部分です。腫瘍マーカーの検査を他の検査もなく実施するとそれだけで査定対象ですしね。

腫瘍マーカー検査を行う時は他の検査で癌が疑われるときに算定するものです。

で、今日の悪性腫瘍特異物質治療管理料のまとめです。

  • 悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定には癌の確定病名が必要
  • 2項目以上の場合は400点を算定する
  • 腫瘍マーカーと採血の費用は管理料に含まれている
  • 月一回を限度して算定
  • 癌病名未確定では【腫瘍マーカー検査料+判断料+採血料】で算定する
  • 後日確定した場合はレセプトの変更を行う。
  • 患者さんのお会計に変更があるけど精算することはあまりない

ゆっくり考えれば難しいことではないですが混乱してしまうポイントですね。ひとつひとつ理解していきましょう。

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