皮膚、皮下腫瘍摘出術や創傷処理における露出部の解釈。手術を算定ミス。

皮膚、皮下腫瘍摘出術や創傷処理における露出部の解釈 K第10部 手術
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皮膚、皮下腫瘍摘出術や創傷処理における露出部の解釈って難しいですよね。いったいどこからが露出部なんだろう?

特にレセプト点検時にきわどい部位もあります。算定業務をスタートさせた新人には混乱するポイントでもあります。

「露出部」と「露出部外」では算定できる点数が大きく違います。間違えて算定すると患者さんに迷惑をかけてしまいます。そして上司に怒られるかもしれません。

なので、今日は手術の皮膚、皮下腫瘍摘出術や創傷処理における露出部の解釈について書いておきたいと思います。

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露出部の部位。レセプト診療報酬における場所はここ!

ほんの
ほんの

露出部になる場所についてわかりやすく考えるのであれば、半袖半ズボンを履いている状態ですね。そこから出ているところは露出部になります。

診療報酬早見表を参照してみると、露出部について難しく書いてあります。

「露出部」とは、頭部、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下をいう。

これ簡単に言ってしまえば、半袖半ズボンを履いている人をイメージすればわかりやすいと思います。イメージしやすいように画像も用意しました。

上記の画像の肌色の部分が露出部になります。洋服を着ている部分は露出外になります。

【露出部とは】

  • 頭部
  • 頸部
  • 上肢にあっては肘関節以下
  • 下肢にあっては膝関節以下

となっています。

露出部なのに算定不可の場所があります。

ここがやっかいなポイントです。

上記の条件を満たしていても真皮縫合加算が算定できない部位が存在します。こまる。難しい!!

でも大丈夫。以下の5か所だけなのでよく覚えてください。

  1. 眼瞼
  2. 眉毛
  3. 手掌

この5つだけは露出部ですが真皮縫合加算の算定は不可能です。

診療点数早見表にも「指」「手掌」「眼瞼」は書いてあります。プラスで「眉毛」と「舌」です。

詳しくは以下をどうぞ

創傷処理における真皮縫合加算について。算定部位や算定要件など。
創傷処理における真皮縫合加算って理解しているようで難しかったりします。 真皮縫合加算はベテランでもミスしてしまう事があります。 基本的な部分ですが大事なのでしっかり覚えておきましょう。 なので今日は創傷処理における真皮縫合加算について書いておきます。

皮膚、皮下腫瘍摘出術で算定間違いを発見しました。

算定間違いをしていた実例。

「頭部に腫瘍がありその腫瘍を摘出」術式は皮膚、皮下腫瘍摘出術で算定。

ここまでは正解です。

普通の医療事務であれば誰もが算定をする内容です。

問題は頭部が露出部か露出部外なのかと言う部分になります。

この皮膚、皮下腫瘍摘出術は摘出した場所と大きさで点数が違ってきます。露出の方が点数が高くなります。

診療点数早見表で確認しておきましょう。

K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)

1 長径2センチメートル未満  1,660点
2 長径2センチメートル以上4センチメートル未満  3,670点
3 長径4センチメートル以上  4,360点

K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)

1 長径3センチメートル未満  1,280点
2 長径3センチメートル以上6センチメートル未満  3,230点
3 長径6センチメートル以上  4,160点
4 長径12センチメートル以上  8,320点

で今回の頭部は露出部なんでしょうか?

ほんの
ほんの

頭部は露出部になります!!

手術における露出部についての解釈。露出部は頭部、頸部、上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下です。

今回は頭部に2.5cmでしたので

皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)の2 長径2センチメートル以上4センチメートル未満(3,670点)が正解です。

しかし、間違えてしまったスタッフは

皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)1 長径3センチメートル未満(1,280点)で算定してしまったのです。

間違えたスタッフは露出部以外と認識をしていました。

【正解】皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部  )2 3,670点
【謝り】皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)1 1,280点

それにはいくつかの理由があります。

平成20年の診療点数早見表では正解だった!!算定内容は時代と共に変化するのでアップデートが必要。

このミスが発覚したことにより患者さんへ7,000円以上を追加で徴収する事になりました。

3670点ー1280点=2390点
2390点×3割 =7170円

病院の信用問題にも関わります。

ぼくが患者さんだったら手術をした病院から術後に「間違いがありました。7000円追加で支払ってください。」なんて言われたらイヤです。この病院大丈夫かよ?なんてなります。

人間なので間違いを完全にゼロにすることは難しいですが、医療事務を仕事とする以上は算定間違いを減らす必要があります。

ではなぜ、こんな初歩的なミスをなぜ大ベテランが行ってしまったのでしょう?

それは、平成20年の診療報酬改定までは頭部は露出部以外だったのです。実際に平成18年の診療点数早見表を確認してみると頭部は。

露出部とは,顔面,頸部,上肢にあっては肘関節以下及び下肢にあっては膝関節以下(足底部を除く。)をいう。

そうなんです。昔は頭部ではなくて顔面だったのです。これをベテランは勘違いしていたのです。

頭部は髪の毛があるので露出部ではない!と言い張っていました…。

平成20年までの露出は顔面だった!!

本日のまとめ。診療報酬改定は2年に1度おこなわれます。

しっかりチェックしないと今回のベテランのような事にもなりかねません。

ベテランの長年の経験と知識がすべて正しいわけではありません。ため込んだ知識はゆっくりと古くなっていくのです。

大事なことは間違いをなくすことではなく変わっていくこと。自分の脳みそを柔らかくしてしっかりと対応していくことが大事です。

人間は年をとると、目の前に革新的なアイデアや道具があるのに変化をせず、今までのやり方に固執する傾向になります。

スマホという便利な道具があるのにガラゲーで良いと言っていたぼくの両親のような存在です。今ではラインでネットニュースの面白い記事を送ってくるようになりました。

わからない事はわかる人に聞いてもいいですが、たまには自分を信じて自分で調べて自分で考える。そうすることで最終的には自分の為になります。

常に最新の情報をインプットすることはどの業界のどの職種でも基本です。立ち止まらず日々勉強が大事ですね。

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