【入院中に他院受診】入院料は減算か自費。レセプトの記載はどうする

医科診療点数(レセプト)
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医療事務をやっていて困ることの一つに入院中に他院へ受診をする患者さんがいる。があります。

現在の診療報酬では患者さんは入院しているのだから他の病院に行く必要はないよね?入院している病院に医師がいるでしょ。他の病院に行くのであれば点数を引くよ。となっています。

ほんの
ほんの

なので、なるべく入院中は他の病院に行って欲しくないです。できる事であれば退院してから他の病院に行ってほしいと考えています。

しかし、実際には医師だって他の診療科についてはわからないことも多いので、必要であれば入院中であろうとも他院を受診する必要があります。

総合病院だってクリニックにかかりつけ医があればそちらを受診する可能性はゼロじゃないですね。入院中に他の病院へ受診すると入院料を減算などをする必要があります

勉強したので書いておきます。

2018年診療報酬改定でM001〜M001-4を算定している患者さんについては緩和措置が入りました。

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入院中に他の病院へ受診していいの?算定はどうなる?

まず最初に答えを書いておきますと入院中でも他の病院に受診することは可能です。主治医が他の病院に受診を認めさえすれば受診が可能です。

しかし病院側からすれば、入院中の患者さんは他の病院で受診してほしくありません。

なぜなら入院料を減算(=収益が減少)する必要がありますから。

しかも減算する割合が大きいのです。

入院中の患者さんが他の病院を受診した時のお会計は?

これは入院の通則に書いてありますね。

診療点数早見表を確認しておきましょう。ちょっと長いので該当部分のみ抜粋します。

5 入院中の患者の他医療機関ヘの受診

(6) (2)の規定により入院中の患者が他医療機関を受診する日の入院医療機関における診療報酬の算定については、以下のとおりとすること。この場合において、1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算すること。

ア 入院医療機関において、当該患者が出来高入院料を算定している場合は、出来高入院料は当該出来高入院料の基本点数の10%を控除した点数により算定する。ただし、他医療機関において、区分番号「E101」「E101-2」「E101-3」「E101-4」「E101-5」「M001」「M001-2」「M001-3」「M001-4」に係る費用を算定する場合は、出来高入院料は当該出来高入院料の基本点数の5%を控除した点数により算定すること。

イ 入院医療機関において、当該患者が特定入院料等を算定している場合であって、当該他医療機関において特定入院料等に含まれる診療に係る費用(特掲診療料に限る。)を算定する場合は、特定入院料等は、当該特定入院料等の基本点数の40%を控除した点数(他医療機関において、「E101」「E101-2」「E101-3」「E101-4」「E101-5」「M001」「M001-2」「M001-3」「M001-4」に係る費用を算定する場合は、特定入院料等は当該特定入院料等の基本点数の35%を控除した点数)により算定すること。ただし、有床診療所療養病床入院基本料、精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料又は地域移行機能強化病棟入院料を算定している場合は、当該特定入院料等の基本点数の20%を控除した点数(他医療機関において、他医療機関において、「E101」「E101-2」「E101-3」「E101-4」「E101-5」「M001」「M001-2」「M001-3」「M001-4」に係る費用を算定する場合は、特定入院料等は当該特定入院料等の基本点数の15%を控除した点数)により算定すること。

いやー。長いですね。

赤字のアンダーラインの部分が追加になった部分です。

地域包括ケア病棟だと基本点数の40%を控除した点数により算定する必要があります

入院中の患者さんが他の病院に外来受診をすると多くの点数を減算しなければならない

医療事務なら知っておきたい。レセプトへの記載について。

40%の控除だけでも大きいのにさらにレセプトにも記載する必要があります。

ほんの
ほんの

あー大変!!

診療報酬明細書の摘要欄に、「他医療機関を受診した理由」、「診療科」及び「○他(受診日数:○日)」を記載。ただし、特定入院料等を10%減算する場合には、他医療機関のレセプトの写しを添付

レセプトのコメント欄に「〇〇における今後の治療指針を検討するため。外科。受診日数1日」なんて書く必要があります。

ぼくの働いている病院くらいの規模だと「〇〇科医師が不在のため専門医受診のため、眼科、受診日数2日」なんてこともあります。

40%も控除されるなら自費で払ってしまうのもありなのかも。

地域包括ケア病棟入院料って2500点くらいあります。

※施設基準の届出内容にもよります。詳しくは以下の記事をどうぞ。

地域包括ケア病棟入院料は包括範囲(まるめ)が多い。算定可能な項目はこれ。
地域包括ケア病棟入院料は包括範囲が広くほとんど算定できないので、一般急性期病棟とは大きく違います。ぼくは急性期病棟でガシガシレセプトをやっていたので地域包括ケア病棟に異動になった当初はちょっと戸惑ってしまう部分もありました。出来高病棟ではないので算定する項目も少なくレセプト点検も少なくてOKですから...

ここから40%も控除されると1500点くらいになります。金額にすると10000円くらいになります。

これって10000円減額されるくらいなら、他医療機関に受診した分が1000点以下なら自費分を病院負担で支払った方が収益的には良いですよね。としている医療機関も多いと思います。

これって違法なのかなぁ。でも病院が自費分を支払うのだからレセプト上はわかりませんね。

今回は素直に40%控除したほうがお得だったのでルール通りにしましたが、クリニックに受診して診察と簡単な処置や検査だけなら1000点以下のことってありそうです。

本日のまとめ

減算させたい厚労省の気持ちはわからないでもないですが、現在のでは医療の細分化が進み医師の分業化もしています。それなのに多くの入院料を減算しなくてはいけない診療報酬には疑問が残ります。

財源が逼迫している現状も理解できますが他院に受診している間は医療の提供をしていないという考えなのかもしれませんが、外出するための準備や戻ってくるときの受け入れ体制などそれなりに病棟側でも負担になっているんですよね。

病院が潰れてしまえばいいなんて思えないし、患者さんが負担すればいい。とも思えませんがもう少しいい方法があるような気がするんですけどね。

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