整形外科ではロキソニンテープやモーラステープなどの湿布が多く処方されます。
この湿布薬には1回の処方では70枚までというルールがあります。
湿布を70枚までにしましょう。とルールができた背景は一回の処方で300枚など必要以上に処方をする医師が多発したことです。2016年の診療報酬改定からスタートしました。
厚労省は医療費削減のため自分でできることは自分で行ってもらおうと動いています。湿布薬やうがい薬などはドラックストアで買えばいいじゃない。ってこと。
2018年の診療報酬改定でもこの流れは続きましたね。医療費控除としてセルフメディケーション節税もスタートしました。
詳しく知りたい人は以下をどうぞ。セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について(厚労省HP)
ぼくも書いています。
今日はタイトルにもある通り、ロキソニンテープやモーラステープなどの湿布薬の70枚の処方制限についてです。
医療費を抑えるための施策ですが医事課にとっては負担が大きくなりますね。って話です。
ロキソニンテープやモーラステープは1回の処方に対し70枚まで。湿布薬の種類について。
湿布薬と言っても多くの種類があります。最初は細かいルールが指定されておらず混乱しましたが2018年の診療報酬改定で湿布薬がしっかりと定義されました。
貼りつけるものは全部湿布薬なの?なんて疑問もあったと思います。湿布薬とは以下のものをいいます。
張付剤のうち薬効分類上の
- 鎮痛
- 鎮痒
- 収斂
- 消炎剤
となりました。
つまり、これ以外の貼付剤は湿布薬では無いので70枚以上の処方を行ってもOKです。
10 「通則5」の湿布薬とは、貼付剤のうち、薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤(ただし、専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)をいう。
つまりロキソニンテープやモーラステープは痛いところに使用するものなので70枚までの処方になります。
薬効分類上の鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤について詳しく知りたい人は薬価本で確認しましょう。ここでは長くなるので割愛します。
湿布薬70枚制限の抑えておきたいポイント。このルールの背景
1回の処方で湿布薬は70枚まで。この背景には医療費(薬)を削減したい!という厚労省の考えが大きく反映されています。
厚労省としては湿布やうがい薬はドラックストアで買ってほしい。それくらい今の日本には医療費が増え続けており財源が不足しているんですよね。
病院で処方されると1割負担の高齢者はドラックストアで買うより格安なので、高齢者は病院で処方してもらおうとなるのは仕方ない部分もあります。
なので、病院側のルールを作成して抑制しようと考えたわけです。
別に70枚に制限する事は悪い事ではありません。
医療費は年々増加していく一方です。なのでどこかで歯止めをかけないといけません。この70枚制限でどれだけ効果があるのか知りませんけど。
一応、厚労省の資料を載せておきますね。
- 一定枚数を超えて湿布薬を処方する場合には、原則として処方せん料、処方料、調剤料、調剤技術基本料及び薬剤料を算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず一度に一定枚数以上投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することとする。
- 湿布薬の処方時は、処方せん及び診療報酬明細書に、投薬全量のほか、一日分の用量又は何日分に相当するかを記載することとする。
この制度のポイントとしては1処方に対し70枚まで部分になります。
それ以外にも違う病院で処方された湿布薬を確認する必要はないので70枚処方してもらった次の日に違う病院で70枚を処方してもらうことも可能なんです。
あまり意味ない!!
処方箋やレセプトでの注意事項。医療事務的に大事なコメントの書き方。
ぼくの働いている病院は院外処方です。つまり処方箋を発行して調剤薬局で薬をもらいます。
最近は院内処方の病院は少なくなりましたね。
処方せんには投薬全量のほか、一日分の用量又は何日分に相当するかを記載することは以前からのルールなので大きな問題ではありませんが記載方法が変更になります。
患者さんの処方データの修正作業が必要になります。
具体的には下記のように処方箋に記載していました。
ロキソニンテープ100mg 70枚
1日1回
腰部
左膝部
これを一日分の用量又は何日分に相当するかを記載する必要があるので下記のように変更します。
ロキソニンテープ100mg 70枚
1日1枚
腰部
1日1枚
左膝部
この変更だけでもそれなりの作業量になりましたが、もっと大変なのはレセプトに記載する方法です。働いている病院は紙カルテ&院外処方なので、処方内容がレセプトに反映されません。
つまり、すべての患者さんの処方内容を確認してレセプトに記載する作業が発生します…。
紙カルテの確認だと医師の記載漏れの可能性がありますし「1-3 DO」みたいに書かれると、投薬全量のほか、一日分の用量又は何日分に相当の確認が困難になります。
患者さんの処方せん控えを現状フローに変更を加え全部保管する事にしました。
そこから当日の担当者が順番でレセプトに反映するようにシステムに入力します。
簡単に書いてますが、毎日500枚くらいの処方せんを確認して湿布薬があった場合はレセプトに記載するのは大きな手間です。
電子カルテなら違ったのでしょうね。
本日のまとめ。70枚を超えて処方した時のコメント
ロキソニンテープやモーラステープは1回の処方に対して70枚までの制限がありますが、実際はしっかりコメントを入れておけば査定などはありません。
70枚処方した翌週に70枚を処方しても査定などになりませんでした。1ヶ月に3回70枚処方もOKでした。
なので、現状のルールでどこまでOKなのかはわかりませんが、現在の査定対象になる部分は
- 1処方で70枚
- コメントの記入
これくらいなんでしょうね。コンピューターチェックの精度が向上していけばここら辺も突っ込まれる可能性は否定できません。
また70枚を超えた場合も「1日4枚(右腕、腰、両膝)に使用、長期休暇に伴い次回の受診5週間後のため140枚を処方した」みたいに詳記で対応すればOKです。
これも今のところですけどね。
今後、このようなグレーな処方に対しても厳しいルールが設けられる可能性は大いにあるでしょう。
湿布薬、うがい薬、に続いて、頭痛薬やアレルギー薬(花粉症)など対象になる可能性はあるでしょう。簡単な疾患は病院ではなくドラックストアで。の流れもあります。
難しいですがひとつひとつやっていくしかありませんね。