入院している患者さんの中には経口摂取困難な患者さんも多いです。
若い人でもノロウイルスなどの胃腸炎関係で入院すれば絶食治療を行います。
口から食べれなくとも何かしらの栄養を体内に取り込むことは生きていくために必要です。経口摂取が難しい状態であれば他の方法で栄養を取り入れないといけません。
入院中の食事方法は口から通常のご飯を食べる以外にも多くの方法があります。経管栄養や静脈栄養や流動食などです。このあたりは医療事務として算定をするにも気を使う項目になります。
ぼくはどれも似たような食事方法に戸惑い違いがわからなくなってしまいました。
なので、今日は入院中の栄養補給や食事方法について勉強したのでまとめておきます。
基本的には口から食べるようにしています。
そもそも大前提としてどんな患者さんでも口から食べれるよう考える(経口摂取)のが今の治療方針のスタンダードです。
この高齢化社会の中で経口摂取は必須のキーワードで、次の診療報酬改定でも胃ろう造設や療養病床なんかは厳しくなるでしょうね。社会保障が間に合わない。
しかし、中には経口摂取が難しい入院患者さんもいます。そんな患者さんに対しては経口摂取以外の方法で栄養を体内に取り込みます。
経口摂取困難な患者さんに対する食事方法はいろいろな方法がありますが口から食事が出来ない場合は大きく分けて2つの方法になります。
血管から栄養を入れるか、経管栄養として体内に直接栄養を入れるかです。
- 経管栄養 胃ろうや腸ろう
- 経鼻経管栄養
- 末梢静脈栄養と中心静脈栄養
こんな感じですね。ひとつひとつ説明していきます。
経管栄養 胃ろうや腸ろう
経管栄養とは胃や腸に必要な栄養を直接注入することです。
手術で胃や腸などの消化管に穴を開け、チューブやカテーテルを使って栄養を直接送ります。胃に穴を開ける方法のことを「胃ろう」、腸に穴を開ける方法のことを「腸ろう」といいます。
目的は食道などの嚥下機能に問題があり、誤嚥やそれによる肺炎などの危険性が高いものの、胃や腸の消化管には問題がない人が選択しています。
メリットは経鼻経管栄養よりも患者負担が少なく、胃や腸の消化管機能からの栄養補給が可能です。直接栄養を入れられるので、誤嚥や肺炎の危険性を下げることができます。
デメリットは穴を開けるための外科手術が必要なことです。また、定期的にカテーテルを交換する手間と費用がかかります。半年に1度くらい。高齢者で認知症がある場合はの人の場合は自分でカテーテルを抜いてしまうこともあります。
経鼻経管栄養
鼻の穴からチューブを通す「経鼻経管栄養」という方法もあります。この場合は胃や腸に穴を開ける手術が必要はありません。短期間で嚥下障害が治りそうな患者によく利用されます。
メリットとしては穴を開けるための外科手術が必要ないところでしょうね。口からの食事が可能になれば、すぐにとり外すことができます。
デメリットとしては細いチューブを鼻から入れるので不快感があります。
これも胃ろうと同じで高齢者の中には自分で引き抜いてしまう可能性があります。管理が難しいらしくそのまま退院することは少ないです。
つまり退院先で特別養護老人ホームや介護保険老人保健施設など介護サービスの施設では受け入れが難しく入所先が見つからないことになります。
末梢静脈栄養
点滴で注入する「末梢(まっしょう)静脈栄養」と、心臓に近い太い静脈を使う「中心静脈栄養」の2種類があります。
経静脈栄養は文字通り静脈の血管から栄養を入れる方法です。経管栄養とは違い消化管機能が低下していても栄養を摂取することができます。
末梢静脈栄養も文字通り末梢静脈から栄養を入れる方法になります。
一般的にイメージされる点滴のように、たいていは腕にある静脈を使います。経静脈栄養の必要な期間が短いと見込まれると末梢静脈栄養が行われます。
これらの静脈栄養のメリットは消化管が機能していなくても栄養を摂取することができることです。またカテーテルを装着する際に手術の必要もありません。
デメリットは一日に投与できるカロリーの上限があることです。静脈栄養だけでは十分な栄養摂取ができません。
中心静脈栄養
中心静脈栄養は心臓の近くにある、太くて血流の速い静脈から栄養を入れる方法です。鎖骨の静脈から中心静脈にカテーテルを挿入して栄養を直接注入します。
メリットは静脈栄養よりもカロリー栄養を投与が可能です。栄養状態が悪い場合にも適しています。
デメリットはカテーテル挿入部からの感染症を防ぐために常に清潔を保つ必要があります。またCVポートを造設するための手術も必要になります。
本日のまとめ
いろいろ書いてみましたが、患者さんの栄養補給状態で今後の治療や現在の状態把握ができるようになります。
食事方法の違いで食事に関する料金が変わってきます。CVポートを作成するには手術も必要です。なのでどの方法がベストなのか判断することは難しいですね。
どの方法を選択してもメリットデメリットがあるのでしっかり内容を確認して判断する必要があるでしょう。
医療事務としてはカルテを細かく読み取らなくても患者さんの食事方法を確認することで今後の治療方法にある程度のあたりをつけることができます。
医療事務員はそれぞれの栄養補給方法の細かいところまで知る必要はありませんが、これからの高齢化社会では経口摂取困難な患者さんも増えてくるでしょう。
実際にぼくの働いている病院でも経口摂取困難の患者さんは増えていく一方ですからね。
なので知らないよりは知っていた方がいいですね。