「皮膚皮下腫瘍摘出術」と「皮膚切開術」との違いについて判断する方法について書いておきます。
医療事務を始めたばかりの頃はどっちで算定したらいいのか悩むことが多かったです。
解決策の一つとして医療事務的(レセプト診療報酬上は)には病理組織標本作製の有無で判断ができます。
K006皮膚、皮下腫瘍摘出術を算定するにはN000病理組織標本作製が必須なんですよね。
皮膚皮下腫瘍摘出術だけを算定した場合は特別な場合を除き査定対象になるので注意しましょう。
外科の診療内容的には違う可能性もありますが、医療事務的に判断するのであれば皮膚皮下腫瘍摘出術と皮膚切開術との違いは病理組織標本作製の有無で判断しましょう。
今日はそんなK006皮膚、皮下腫瘍摘出術にはN000病理組織標本作製について書いておきます。
皮膚、皮下腫瘍摘出術を算定するには病理組織標本作製が必須です
最初に結論から!!
- K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)
- K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)
このどちらかの手技で算定をした場合は
- N000 病理組織標本作製(1臓器につき)
を一緒に算定しましょう。
そうしないと「K001 皮膚切開術」へ査定されてしまいます。
K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) → K001 皮膚切開術
ガーン(/・ω・)/
外来で1000点の査定は大きいですね。とても目立ちます…。
皮膚皮下腫瘍摘出術と皮膚切開術。それぞれの点数を確認しましょう。
皮膚皮下腫瘍摘出術と皮膚切開術はKの区分なので手術の項目になります。
K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)
- 長径2cm未満 1,660点
- 長径2cm以上4cm未満 3,670点
- 長径4cm以上 4,360点
K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)
- 長径3cm未満 1,280点
- 長径3cm以上6cm未満 3,230点
- 長径6cm以上12cm未満 4,160点
- 長径12cm以上 8,320点
K001 皮膚切開術
- 長径10cm未満 640点
- 長径10cm以上20cm未満 1,110点
- 長径20cm以上 1,980点
点数にすると10センチ未満でも1000点以上の差があります。
実際には皮膚皮下腫瘍摘出術に病理組織標本作製の点数も加えるのでもっと大きな差になります。
露出部の解釈については以下の記事に詳しく書いてあります。
腫瘍を摘出したのなら病理検査が必要だ。という審査機関の考え。
今回、皮膚皮下腫瘍摘出術を算定したのに皮膚切開術に査定されたので審査機関である支払基金に確認しました。
そうしたら模範のような解答が返ってきました。
病理組織標本作製をしないのであれば皮膚、皮下腫瘍摘出術で算定できません。腫瘍を摘出しただけであれば皮膚切開術で算定するのが妥当です。
医学的に判断すれば当然のことになります。
腫瘍を摘出したんだから何かしら検査をしなさい。ってことです。腫瘍を検査しないのであれば皮膚切開術で算定しなさいとのこと。
チェックは難しくないので外来診療費の計算時にチェックをして月末のレセプト点検時に再度要チェックです。
レセプト点検ソフトの担当者に言ってチェックポイントを増やしてもらいましょう。
「皮膚皮下腫瘍摘出術」を算定したレセプトで「病理組織標本作製」を算定していないレセプトがあった場合はエラーメッセージを表示させるだけです。
簡単ですね。ぼくの働いている病院でもレセプト点検ソフトのカスタマイズをして同じ間違いが発生しないようにしました。
それでも病理検査を実施していなかったら。他の手技にした方が良いです。
最終的には医師の確認が必要ですが病理検査を実施していなかったら「K000 創傷処理」や「K001 皮膚切開術」で算定しましょう。
「J000 創傷処置」の可能性もあります。
そんな時は、より点数の大きい「K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)・K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)」で算定しても良いでしょう。
このあたりのどの項目で算定するかは医師に聞いても明確な答えは返ってきません。
医師は目の前の患者さんに対して仕事をしているの細かい点数については医事課で考えてほしいのです。
このあたりは経験がモノを言いますね!!
レセプト病名は病理組織標本作製を算定しているので悪性腫瘍などの病名をつけておきましょう。本日のまとめ
皮膚皮下腫瘍摘出術で病理組織標本作製を作製した時は、病理組織標本作製をするだけの必要があるということなので摘出した部位の悪性腫瘍病名などをつけておいたほうが無難です。
同じ理由で、ガングリオン摘出術を算定したときはN000病理組織標本作製の算定できません。これはガングリオンが良性腫瘍なので病理検査をする必要がないからです。
手術の分野についてはいろいろと難しい部分が多いですね。一概に〇〇だから□□だ!みたいに言えないことが増えてきます。
なのでこれからもしっかり勉強してやって行きたいと思います。