K070ガングリオン摘出術でN000病理組織標本作製(T-M)を算定すると査定対象です。
これは国保連合や社会保険支払基金がお得意の「医学的判断」でなくとも基本的な事実になります。くやしいけど。
整形外科系を標榜している医療機関であればガングリオン摘出術を算定する可能性はあります。
ガングリオン取ったのであれば摘出術の算定は可能です。しかし摘出術を算定すると病理組織標本作製(T-M)は算定できません。
では、ガングリオン摘出術を査定すると病理組織標本作製(T-M)は査定になるのはなんででしょうか?
今日はそんなガングリオン摘出術で病理組織標本作製(T-M)を算定すると査定になる理由について書いておこうと思います。
ガングリオン摘出術で病理組織標本作製(T-M)の査定理由
それでは査定になった内容です。
レセプトは以下の通りです。
- 病名:右指ガングリオン
- 手術:ガングリオン摘出術
- 病理:病理組織標本作製(1臓器につき)
これ間違いですよ。査定されて当然ですね。
もう少し詳しく書いていきます。
そもそもガングリオンとはどんな症状なのか?
腫瘤があり、注射針を刺してゼリー状の内容物が吸引できればガングリオンと診断できます。なかには外側から触れない小さなガングリオンもあります。そのような場合は診断がつきにくいので、MRIや超音波検査をして診断します。手関節の痛みがいつまでも続くオカルトガングリオン(不顕性のガングリオン)もその一つです。
ガングリオンについては外部の専門サイトの方が詳しいのでどうぞ。
日本整形外科学会HP
結論!ガングリオンは悪性腫瘍ではない。
そうなんです。ガングリオンは良性腫瘍なんです。
ガングリオンと診断したのであれば病理組織標本作製(1臓器につき)は実施する必要はありません。医学的判断でもなく当然の考えです。
レセプト査定になるのも当然です。こっちが悪い。ごめんなさい。
正しいレセプトを作成する方法は以下の通りです。
それではどのようにしていれば査定を防ぐことができたのでしょうか。
いくつか考えることができますね。
ケース1。ガングリオンを確定病名とする。
これはガングリオンが確定しているので病理組織標本作製(1臓器につき)を算定しません。
病名:【右指ガングリオン】
- ガングリオン摘出術
病理組織標本作製(1臓器につき)
ガングリオンを確定診断しているので今回のレセプトではこれが正解でした。
しかし、医療機関にとっては病理組織検査を実施しているのであれば算定したほうがいいですよね。
病院の収益につなげる方法を考えてみましょう。
ケース2。ガングリオンを術後の確定病名とする。
手術をしたからガングリオンと診断ができた。としましょう。
そうすれば、手術するまで腫瘍が悪性が良性か判断ができなかった。と説明ができます。
手術の手技も変更でガングリオン摘出術は算定できなくなります。皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)が妥当でしょう。
病名:【右1指ガングリオン・右指悪性腫瘍の疑い】
ガングリオン摘出術→ 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)- 病理組織標本作製(1臓器につき)
どうしたら高点数だったの?
今回の場合だったら点数はケース1(ガングリオン摘出術)の方が高いです。
判断料など諸々を除外していますがそれでもケース1(ガングリオン摘出術)が高いです。
なので、算定するのであれば病理組織標本作成は諦めるしかありません。
◆ケース1
- 3,050点:ガングリオン摘出術
- 0点 :
病理組織標本作製(1臓器につき)
(合計:3050点)
◆ケース2
- 1,660点:
ガングリオン摘出術→ 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) - 860点 :病理組織標本作製(1臓器につき)
(合計:2520点)
500点なので外来では大きな差になります。
最後は診療点数早見表を確認しておきましょう
ガングリオン摘出術について参考も読んでおくといいですよ。
K070 ガングリオン摘出術
1 手、足、指(手、足)3,050点
2 その他(ヒグローム摘出術を含む。)3,190点
病理についても確認しておきましょう。
N000 病理組織標本作製
1組織切片によるもの(1臓器につき) 860点
最後は皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)です。今回の場合は指なので露出部になりますね。
K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)
1 長径2センチメートル未満 1,660点
2 長径2センチメートル以上4センチメートル未満 3,670点
3 長径4センチメートル以上 4,360点
本日のまとめ
医療事務としては正しいレセプトを作成することも正解ですが、病院の収益を考えて算定することも正解です。
不正行為をしましょうとは言っていませんからね!!
ただ、今回のケース以外にもどっちでも正解。みたいなケースは多々あります。そんな時は適切な範囲で高得点になる方で算定ができるといいですね。
とりあえず今回のパターンでは、ガングリオン摘出術では病理組織標本作成は算定したら査定になりますよ!という話でした。