今月のレセプト点検情報です。
「関節腔内注射」は整形外科で多く行われる注射です。そんな中でもアルツディスポ関節注の使用頻度は高いです。
そんな中、アルツディスポ関節注を「肘」に実施しているレセプトを発見しました。
アルツは肘に実施していいんだっけ?
よく考えてみるとアルツディスポについて知らないな。と気がつきました。
というわけで、今日はアルツディスポ関節注の適応病名などレセプトにおける算定方法について書いてみたいと思います。
それではいってみましょう!!
アルツディスポ関節注は肘には算定不可です。
最初に結論です。アルツディスポ関節注は肘に算定してはいけません。
査定対象なので算定は諦めましょう。
でもね。今月のレセプト点検で肘関節部にアルツディスポ関節注を実施しているカルテを見つけました。おかしいな。と思いながら再度確認しましたが、やっぱり関節腔内注射(肘)にアルツディスポ関節注を実施していました。
アルツディスポ関節注は肘には算定不可能なんですけどね。
考えてもわからなかったので医者に聞いてみたよ
よく分からないことは考えても仕方がないので医師に確認に行きました。
- もしかしたらパソコンへの入力ミスの可能性もあります。
- もしかしたらカルテに肘と膝を間違えたのかもしれません。
- もしかしたら病名の膝と肘を間違えたのかもしれません。
そんな期待を残しつつ、整形外科医師に実施理由を確認しました。
先生!!なんで肘にアルツディスポやってるんですかヽ(#`Д´)ノ
あ、ばれた。
肘にアルツディスポはダメでしょ。うん。
これどうするつもりですかヽ(#`Д´)ノ
肩とか膝に病名つけるのはどう?
ダメです。不正請求をするんですかヽ(#`Д´)ノ
…じゃあ、アルツディスポを削ろう。
本来であれば、外来受診の実施日に気がつかないといけません。
医師に聞くまでもなく算定不可なので削るしかありません。でも、面白い話が聞けるかもしれないと考えたので話を聞きに行きました。
関節腔内注射(肘)にアルツディスポ関節注は算定不可です。
アルツディスポの適応病名
アルツディスポの適応病名です。レセプトには以下の病名があればOKです。
- 関節リウマチにおける膝関節痛
- 肩関節周囲炎
- 変形性膝関節症
これくらいです。
医療事務としてレセプト点検であればほとんど対応できます。
膝関節痛。でもOKかもしれませんが今後はコンピューターチェックが進んで全国統一の算定基準になってきますのでその時にはNGになる可能性も否定できません。
関節腔内注射とは?読み方は?
読み方なんですが関節腔内注射(かんせつくうないちゅうしゃ)と読みます。
意外と読めませんよね?僕だけかもしれません。
で関節腔内注射なんですが、骨と骨の間にある軟骨の部分に行う注射です。
関節とは、骨と骨のつなぎ目の部分で、レントゲンでは、骨しか見えませんが、それ以外に軟骨や滑膜と関節の袋である関節包に覆われています。 この関節包の中、関節腔へ注射するのが、関節内注射です。適応・メリットは、関節炎や変形性関節症などで、関節包内に痛みの原因がある時に効果があります。逆に関節包外の筋肉や神経の場合はほとんど効果がありません
骨に異常がなく関節包に疾患がある患者さんに対する注射です。軟骨部分(関節包)に問題がある。がポイントです。
関節腔内注射で使用する薬剤(スベニール・アルツ・ケナコルト)について
頻繁に使う薬剤はスベニール・アルツ・ケナコルトなどがあります。ぼくが働いている病院で使用頻度が高いのはアルツになります。
スベニールとアルツの適応病名の違いですが、スベニールのほうが適応病名が少しだけ多いですが基本的には同じと考えてOKです。
ケナコルトだけは少々違いステロイド剤となっています。水がたまって腫れている膝では炎症を伴っているので、ヒアルロン酸単独ではあまり効果が期待できません。
その場合にはステロイド剤を使用します。
【参考記事】
スベニールについて(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052467)
アルツについて(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052455)
ケナコルトについて(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052573)
料金はいくらかかるの?関節腔内注射の算定方法。
使用する薬剤や量にもよりますが、関節腔内注射の実施料+薬剤料となります。
ざっくりした計算ですが、どの注射も700円くらいで実施できます。ジュネリックを使用すればもっと安くなります。
医療事務らしく診療点数早見表を確認しておきましょう。
G010 関節腔内注射 80点
通知
検査、処置を目的とする穿刺と同時に実施した場合は、当該検査若しくは処置又は関節腔内注射のいずれかの所定点数を算定する。
上記からわかる通り関節腔内注射だけなら80点になります。
3割負担でも240円になります。これに薬剤の料金が加わりますので700円くらいになる計算です。
また、注意事項もあります。アルツを実施した当日はお風呂に入らない方が良いとか、1週間に1回で5週までとかいろいろありますが詳細は担当医に確認してくださいね。
レセプト情報!関節穿刺も一緒に算定できる?
関節穿刺と一緒に実施の可能性があります。
関節穿刺は120点で関節腔内注射は80点なので関節穿刺を算定した方が高いじゃん。そっちで算定した方が良いよ!って思うかもしれません。
J116 関節穿刺(片側)120点
通知
関節穿刺を左右両側に行った場合は、それぞれ算定できるが、同一側の関節に対して、区分番号「D405」関節穿刺、区分番号「G010」関節腔内注射を同一日に行った場合は、主たるもののみ算定する。
しかし、関節穿刺は処置の項目になりますので外来管理加算が算定できなくなります。関節腔内注射+外来管理加算で算定した方が高くなりますのでこちらで算定してくださいね。
診療点数早見表には主たるもののみ算定する。と書いてありますが、関節穿刺の方が安くなる場合も多々ありますので注意が必要ですね。
追記!若年層における膝への関節腔内注射(アルツ)は詳記書いても査定です。
若年層(20代前半)における膝への関節腔内注射(アルツ)の査定がありました。詳記もつけたんですけどね…。
社会保険支払基金は厳しいです。今回は理由があったので症状詳記まで添付したのですがダメでした。医学的に認められないという理由です。
アルツディスポの適応病名は、変形性膝関節症・肩関節周囲炎・関節リウマチになります。
20代で変形性膝関節症は医学的にありえません。という、社会保険支払基金の回答がありましたのでそれに従うだけです。
支払基金がダメと言ったらダメですからねぇ。病院としてはいろいろ言いたい事もありましたが再請求したりする労力や時間の方が大きくなるので諦めです。
本日のまとめ
長くなりましたが本日のまとめです。
- アルツディスポ関節注は肘には使用できない。
- 肩や膝ならOKです。
- 関節腔内注射(かんせつくうないちゅうしゃ)と読みます
- 同じように使用する薬剤にスベニールとケナコルトもある
- 基本的には同じ病名で対応できます。
- 料金は3割負担で700円くらいになります。
- 関節穿刺とは併算定はできません。
- 若年層20歳以下には使用できません。査定対象です。←追記
しっかりと算定していきたいですね。