手術の同一手術野又は同一病巣ってなんだ?複数手術や特例について。

K第10部 手術
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手術の算定は難しいですよね。

しかも複雑な手術になればなおさら。2つの手術を同時に行った時なんてどうすれば良いのでしょうか?

医療事務たるもの日々勉強が必要ですね。なので、今日は手術の同一手術野又は同一病巣について勉強しましたので書いておきたいと思います。

難しい言葉ですが「同じ場所や近い場所に複数の手術を実施した場合」についてです。

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同一手術野又は同一病巣ってなんだ?複数手術について

まず手術料の共通元原則について確認しておきましょう。診療点数早見表の手術の通則です。

通則13:対称器官に係る手術の各区分の所定点数は、特に規定する場合を除き、片側の器官の手術料に係る点数とする。

通則14:同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合の費用の算定は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、神経移植術、骨移植術、植皮術、動脈(皮)弁 術、筋(皮)弁術、遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの)、複合組織移植術、自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの)、粘膜移植術若しくは筋膜移植術と他の手術とを同時に行った場合、大腿骨頭回転骨切り術若しくは大腿骨近位部(転子間を含む。)骨切り術と骨盤骨切り術、臼蓋形成手術若しくは寛骨臼移動術とを同時に行った場合、喉頭気管分離術と血管結紮術で開胸若しくは開腹を伴うものとを同時に行った場合又は先天性気管狭窄症手術と第10部第1節第8款に掲げる手術を同時に行った場合は、それぞれの所定点数を合算して算定する。また、別に厚生労働大臣が定める場合は別に厚生労働大臣が定めるところにより算定する。

ほんの
ほんの

難しい!!

例によって難しく書いてありますね。ひとつひとつ確認しておきましょう

複数の手術は主に2つのルールがあります。通則13と通則14。この二つを読んでおけば大丈夫です。

通則13について

これは書いてある通りです。

ここに書いてあるのは、通常の手術の所定点数は片側だけの点数であるってことです。

両方の部位に手術を行えば2倍の算定ができます。

例えば、転倒して両手関節を骨折した患者さんに骨折観血的手術を行った場合は2回分の算定をしてOKです。

仮に転倒と同時に足関節も骨折していたら3回分を算定できます。

  • 骨折1か所:骨折観血的手術 1回算定
  • 骨折2か所:骨折観血的手術 2回算定
  • 骨折3か所:骨折観血的手術 3回算定
  • 骨折4か所:骨折観血的手術 4回算定

って感じです。

でも例外があります!特に規定する場合と書いてありますね。

これは診療点数早見表に「~手術(両側)」と記載されている手術です。これらの手術を算定する時は両側の手術を行っても1回分で算定します。

通則13は特に規定する場合を除き手術はそれぞれ算定して良いよ。両手の手術を行えば2倍の算定ができます。
ほんの
ほんの

特に規定する場合については以下にまとめました。

通則13の例外「特に規定する場合」対象の手術

以下の通り。たぶん全部です。

  • K062 先天性股関節脱臼非観血的整復術(両側)
  • K196-2 胸腔鏡下交感神経節切除術(両側)(短3)
  • K331-3 下甲介粘膜レーザー焼灼術(両側)
  • K345 萎縮性鼻炎手術(両側)
  • K426-2 口唇裂形成手術(両側)
  • K514-3 移植用肺採取術(両側)
  • K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側)(短3)
  • K829 精管切断、切除術(両側)
  • K886 子宮附属器癒着剥離術(両側)
  • K887-2 卵管結紮術(腟式を含む。)(両側)
  • K888-2 卵管全摘除術、卵管腫瘤全摘除術、子宮卵管留血腫手術(両側)
  • K889 子宮附属器悪性腫瘍手術(両側)

不足している場合は連絡ください。また(短3)と書いてあるものについては短期滞在入院基本料3で算定します。

これら10個の手術は両方の部位に手術を行っても1回分しか算定できません。

通則14について。同一手術野又は同一病巣について

これは一つの部位(同一手術野)に対し複数の手術を行った場合については主たる所定点数を算定する事になっています。

例えば

  • K718 虫垂切除術 6210点
  • K733 盲腸縫縮術 4400点

これらの手術を行っていた場合はK718虫垂切除術6210点の方が高得点なので算定する事になります。盲腸縫縮術もやったのに算定できません。かなしい。

同一手術野の考え方としては1つの切開部(同一皮切)から行える手術と考えておけばわかりやすいです。

1つの皮切から行った手術は1つしか算定できません。

通則14の例外「別に厚生労働大臣が定める場合」について

しかしそうも言ってられない場合も多々あります。医師や病院によっては1回の手術で複数行っても算定できないなら2回手術するよ!って可能性もあります。

なので「別に厚生労働大臣が定める場合」については例外が認められています。

この特例の場合は所定点数×0.5で算定が可能です。対象手術は結構多いです…。全部は書ききれないので厚労省のPDFを参照してください。

診療点数早見表にもあります(複)って書いてあるのでわかりやすいですね。

複数手術に係る費用の特例について

http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=339249&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000117018.pdf

特例手術一覧別表第1

https://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/16kaitei/horei/160318kp_kkj72_shujutu.pdf

ここに掲載されている手術を行った場合は複数の手術が算定できます。

主たる手術の所定点数+2つ目の手術の所定点数×0.5

です。

例えば

  • K657 胃全摘術  2悪性腫瘍手術 69,840点
  • K716 小腸切除術 2悪性腫瘍手術 34,150点

これらの手術を行っていた場合は69840点+34150点×0.5で算定する事になります。

基本的には1つの算定だけど例外的に複数を算定してOKなものもあります。これが意外と多いですが診療点数早見表にしっかり書いてあります。

本日のまとめ

手術の同一手術野又は同一病巣について書いてみました。

勉強してみると複数手術や特例について知らないことも多かったです。整形外科でも骨折観血的手術に追加して算定できる項目は多々ありますね。

行った手術に対してはしっかりと算定していきたいと思います。

また、指の手術についてはこれらの通則以外にルールがありますので注意ですね。

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