複数の指に対する手術の算定方法について。まとめ。

K第10部 手術
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複数の指に対する手術を算定するのは複雑で難しいですね。

  • Aの手術はOK
  • B手術ではNG

みたいなことが多々あります。

過去にも指に対する骨折観血的手術の査定がありました。

指の手術の算定方法としては複数指にかかる手術をした時は複数を算定できるのが基本的な考え方になります。

しかし、指の場所や手術によっては同一手術野となります。ここが難しい

中手骨の骨折観血的手術は複数の算定はできません。

知らなかったので同じミスを繰り返すところでした。あぶないあぶない。

なので今日は複数指に対する手術について勉強したのでまとめておきます。難しいですがなるべく簡単に書いておきます。

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最初に結論から。手術の原則と指手術の例外。通則14の話

手術は通則14にある通り、同じ手術を行なっても1つしか算定することができません

これが手術を算定する上での大原則です。

同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合の費用の算定は、主たる 手術の所定点数のみにより算定する。

しかし!!

指の手術を含むいくつかの手術は例外となっており同一手術でも複数の算定が可能な場合があります。

つまり指の手術は手術の算定方法における例外となります。

それではもう少し詳しく書いてみます。

指の手術は基本的には複数の指に実施しても1回分だけの算定になります。

通則14は難しい。読解できる人は挑戦してみてください。僕には無理でした。

(4) 指に係る同一手術野の範囲指に係る同一手術野の範囲と算定方法については次の通りである。

ア 第1指から第5指までを別の手術野とする次に掲げる手術のうち、2つ以上の手術を同一指について行った場合には、「通則14」における「別に厚生労働大臣が定める場 合」に該当する場合及び(ハ)に掲げる手術を除き、当該手術の中で主たる手術の所定点数のみを算定する

ここに書いてある通りです。

特別な場合を除き主たる手術の所定点数のみを算定すると書かれています。なので創傷処理を複数の指に行っても1回分の算定になります。

でもそれってひどくない?

指の手術は複雑で難しいのだから算定を可能にしてほしい!ってことから例外があります。

それは指の場所(末節骨、中節骨、基節骨、中手骨)によって算定方法が異なるからです。ここを知っておかないとレセプト点検でも見逃してしまい査定になってしまいます。

なお、(イ)及び(ロ)に掲げる手術については、複数指について行っ た場合には、それぞれの指について算定し(ハ)に掲げる手術については、同一指内の複数の骨又は関節について行った場合には、各々の骨又は関節について算定する

ここに書いてある通り例外の手術もあります。って書いてあります。

ほんの
ほんの

もう少し詳しく書いてみます。

中手部や中手骨まで各指で算定できる手術(1指ごとに算定可能)

それでは算定できる手術を確認しましょう。

まずは中手部や中手骨まで各指で算定できる手術です。

これは書いてある通り中手部や中手骨までを1指として考える手術です。上の写真の赤い部分。

これらの手術は以下の通り。診療点数早見表を確認するなら通則14の(3)になります。

(イ) 第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。

  • K028腱鞘切開術(関節鏡下によるものを含む。)
  • K034腱切離・切除術(関節鏡下によるものを含む。)
  • K035腱剥離術(関節鏡下によるものを含む。)
  • K037腱縫合術
  • K038腱延長術
  • K039腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)
  • K040腱移行術の「1」指(手、足
  • K040-2指伸筋腱脱臼観血的整復術
  • K054骨切り術の「3」中の指(手、足)(関節リウマチの患者に対し、関節温存を前提として中足骨短縮骨切り術を行った場合に限る。)

例えばK037腱縫合術を2つの指に実施していた場合は2回分の算定をしてOKとなります。

しかも部位は中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。ので中手部に対するK037腱縫合術を2つの指中手部に実施していた場合も2回分の算定をしてOKです。

中手部や中手骨は含まない手術(1指ごとに算定可能)

次に書いてある手術は2つの指に実施してた場合は算定できますが中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まないのが上記とは違う点です。

(ロ) 第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まない。) のそれぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。ただし、合指症手術にあっては各指間のそれぞれを同一手術野とする。

  • K089爪甲除去術
  • K090ひょう疽手術
  • K091陥入爪手術
  • K099指瘢痕拘縮手術
  • K100多指症手術
  • K101合指症手術
  • K102巨指症手術
  • K103屈指症手術、斜指症手術

第1節手術料の項で「指(手、足)」と規定されている手術

  • K039腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)
  • K040腱移行術の「1」指(手、足)
  • K045骨折経皮的鋼線刺入固 定術の「3」中の指(手、足)
  • K046骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)
  • K054骨切り術の「3」中の指(手、足)(関節 リウマチの患者に対し、関節温存を前提として中足骨短縮骨切り術を行った場合に 限る。)
  • K063関節脱臼観血的整復術の「3」中の指(手、足)
  • K073関節内骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)
  • K080関節形成手術の「3」中の指(手、足))
  • K082人工関節 置換術の「3」中の指(手、足)を除く。)

なのでK046骨折観血的手術を基節骨に対して2つの指に行ったときは2回分を算定してOKです。

しかし、中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まない。とありますのでK046骨折観血的手術を中手骨に対して行った時は同一手術野とみなされて1回分の算定になります。

同一指内の骨・関節ごとに算定可能な手術

最後になりますが、これは骨関節ごとに算定可能な手術となります。図にある通り末節骨と中手骨に対し手術を行った場合は2回分が算定可能になります。その手術は以下の通りです。

(ハ) 同一指内の骨及び関節(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそ れぞれを同一手術野とする手術は、次に掲げる手術である。

  • K045骨折経皮的鋼線刺入固定術の「3」中の指(手、足)
  • K046骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)
  • K063関節脱臼観血的整復術の「3」中の指(手、足)
  • K073関節内骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)
  • K078観血的関節固定術の「3」中の指(手、足)
  • K080関節形成手術の「3」中の指(手、足)
  • K082人工関節置換術の「3」中の指(手、足)
  • K082-3人工関節再置換術の「3」中の指(手、足)

なのでK045骨折経皮的鋼線刺入固定術を末節骨と中手骨に対し行った場合は2回分が算定できます。

本日のまとめ

指の手術についてまとめてみました。

指の手術のパターンは4パターンですので慣れれば難しくないのかも…。

ぼくにはまだ難しいです。

もう一度まとめておきましょう!!

  1. 何個の指を手術しても同一手術野として考えるのが基本。
  2. 例外として(イ) 第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術
  3. (ロ) 第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まない。) のそれぞれを同一手術野とする手術
  4. (ハ) 同一指内の骨及び関節(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそ れぞれを同一手術野とする手術

これだけなんですけどね。

そして今日は書けませんでしたが、上記のような複数の指に実施した分だけ算定可能な手術と同時に算定できない手術を実施た場合なども可能性としてはゼロじゃないです。

しっかりと通則に書いてありますのでそんな時は診療点数早見表を確認して査定など無いようにしていけたらいいですね。

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