久しぶりのレセプト点検をしました。レセプト点検はやっぱり楽しいですね。
今日はタイトルにもある通り「同じような疾患」で「同じような手術」をしているにも関わらず医師によって術式(Kコード)が違う。という話です。
医療事務の算定での悩みですね。医療事務あるあるです。
もう少し詳しく書いていきましょう。
急性期病棟で膝部骨折のため入院して手術を行う患者さんがいました。
入院をして手術するような人の中には「複数の骨折」をしていることもあります。「骨折と腱断裂」とかね。
診療報酬における手術の術式(Kコード)はとても多く、すべての術式について詳しい説明ができる人はいないでしょうね。
ぼくはもちろん無理です。知っている手術の方が少ないくらい。
医事課のあの先輩もお局上司もそこまでは知らないでしょう。整形外科には詳しいけど外科は知らない。なんて可能性もあります。
医療事務は医療行為をレセプトにして請求業務を行っています。
診療報酬の制度上、病院が収入を得る為には患者さんからの一部負担金と保険者から保険料分というふたつがあります。
- 患者さん:3割(2割、1割、0割)
- 保険者 :7割(8割、9割、10割)
※一部医療助成もありますが割愛します。
これを判断しているのはレセプト請求になります。
でもレセプトはカルテの細かい部分を反映していません。
症状詳記やコメントなどで多少の説明はできますが全部のレセプトに手術記録と症状詳記を書いている余裕はありません。
審査機関である国保連合会や社会保険支払基金でも読まないでしょう。
ぼくら医療事務は実際に行われた手術をレセプトという形に置き換えて請求業務を行っています。
医師によって手術の術式が違っていたので医療事務が混乱したという話。
レセプト点検とカルテチェックを行っていたら、膝関節部の手術に対し主治医の意見がそれぞれ異なっていたということがありました。
算定する術式(Kコード)は以下のようなものがありました。
- K063:関節脱臼観血的整復術 膝 28,210点
- K073:関節内骨折観血的手術 膝 20,760点
- K079:靱帯断裂形成手術 その他 16,350点
今回の場合は骨折に伴う靱帯断裂があった患者さんです。
手術の主な目的は靱帯断裂の形成なので「K079靱帯断裂形成手術 足その他 16,350点」が正しいような気がします。個人的な意見。
関節鏡下では無いので「K079-2関節鏡下靱帯断裂形成手術」は算定できません。
上記3つの手術では最大で10,000点以上の差があります。金額にすると100,000円です。10万円!大きい!!
この手術は「K063:関節脱臼観血的整復術 膝 28,210点」を算定してもいいんじゃない?
いやいや、違うでしょ。これは「K073:関節内骨折観血的手術 膝 20,760点」にしましょうよ。
ぼくは普通に考えたら「K079:靱帯断裂形成手術 その他 16,350点」になると思いますよ。
なんていう意見が医師の中でありました。
もちろん医師同士て話をすることはないので。医療事務であるぼくが間に入って連絡係をしました…。
A先生は○○と言っていましたよ。
協議の結果(一悶着はありましたが)、手術中に整復術も施行していたので「K063関節脱臼観血的整復術 膝 28,210点」で算定する事にしました。
創傷処理と創傷処置の違いもあいまいなところがありますよね。
結構大変でしたが医療事務として行う仕事に変わりはありません。
医師が何と言おうと算定できないもについては
それはできません!
無理!!
なに言ってんの?
ダメです!!!
と、言いますし、
これはいけるんじゃない?なんてカルテがあったら正しいレセプトを作成して症状詳記や手術記録やレントゲン画像など必要なものを用意するだけです。
やることをやれば後は審査機関からの返戻と査定が無いように祈るだけです。
医療事務なら誰もがこの違いはなんなん?
みたいなものがあると思います。
創傷処理と創傷処置だって際どい時はありますからね。
ひとつ確実に乗り越えていきましょう。