医療事務ブロガーとしては書いておかなくてはならないネタがありましたね。
厚労省が全国424の病院に対して再編必要と名指しをしました。これはなかなか異例のことですが、公表された病院を見てみると確かに微妙な病院があるのも事実ですね。
今日はそんな424の病院に対して再編が必要と判断されたのか、再編後の問題点や注意点について書いてみたいと思います。
厚労省が424の病院に対し再編必要と発表した背景
まずは厚労省がなぜ再編必要と発表したのか。この背景から知る必要があります。
それは「地域医療構想」の一環になります。
2025年には団塊の世代が75歳以上となり日本は超高齢化社会に突入していきます。ここで何が問題になるかというと「高齢者が増える=医療費が増える=財源不足していく」ということになります。
この地域医療構想は、簡単に書くと高度急性期・急性期・回復期・慢性期の病院が偏りなく提供されることが大事だから都道府県単位でしっかりと調整してね!
といったメッセージもありました。
しかし、何度か検討を促してきたが進んでいないのが現状だったため、異例の病院名公表という対応に踏み切ったわけです。
診療実績が少なく非効率な医療を招いている病院が対象となっている。
どんな病院が再編の対象となっているのでしょうか。
それは、「がんや救急など高度な医療の診療実績が少ない病院」や「近隣に機能を代替できる民間病院がある病院」が対象となりました。
つまり必要がないと判断されたわけです。
もっと言えば、民間病院なら患者さんも少なく赤字経営で潰れているような病院です。
公表されたリストを確認すると病床稼働率が50%なんていう病院もありました。
民間病院で病床稼働率が50%なんて言ったら大変なことです。ぼくの働いている病院であれば95%を下回ると病棟看護責任者や事務責任者は会議で大変になります。
それくらいシビアにやっている民間病院がたくさんある中で、補助金をもらいながら50%の稼働率で運営しているのは確かに非効率で再編が必要と判断されても仕方ありません。
病院名が知りたい人は以下の記事に一覧があります。
また厚労省が発表した病床稼働率など詳細な資料はこちら(1455病院分あります)
今後も再編されることはないでしょう。本日のまとめ。
こうやって病院名まで公表されたので各都道府県はそれなりの対応をする必要が出てきました。
しかし、今回の発表で再編を地域で検討し2020年9月までに対応策を決めるよう求めましたが特に大きな変化はないでしょう。
権限は各地域に委ねられているからです。都道府県だってとても忙しい中で罰則がない問題に対してどれだけ本気で取り組むことができるか疑問になります。
公立病院の再編や縮小を行おうとすると住民の反発も予想されます。近くにある病院がなくなると困る。などなど。
安倍政権の弱いものイジメ。などと言って政治的な切り口から不必要に問題を大きくしてくる可能性も大いにあります。
医師会や病院協会などの絡みもあるでしょう。
わざわざ火中の栗を拾うような行動をする可能性があるとは思えません。火が大きくなるのに油をそそぐ人はいないでしょう。
でも、財源が不足しているのは事実です。2025年問題が迫ってくるのも事実です。このままでは問題がより深刻化するだけです。
どこかで誰かが大きな責任とともに改革を進める必要があるのは明白です。各都道府県はしっかりと対応を進めて欲しいと個人的には願っています。