医療事務を長くやっていますが手術のレセプトや算定はいつまでたっても難しいですね。手術は点数配分も大きく項目数も多いので悩んでしまいます。
新しい医師がやってきて新しい手術を行うときはとても緊張します。
今日は関節鏡下関節滑膜切除術の適応病名についての返戻がありましたので情報を共有しておきたいと思います。
査定じゃなくて良かったです。
この関節鏡下滑膜切除術はそれなりに多くの算定をしており難しいレセプトではありませんでした。しかし診療料報酬には悪魔が潜んでおります。
先月まで問題なくOKだったレセプトが今月から突然NGになるのは診療報酬の世界ではよく起こります。医療事務あるあるですね。
いつも通りの手術でいつも通りのレセプトと病名。それなのに返戻。不思議ですが多くあるのが実情です。ぼくの大嫌いな医学的判断です。
今日は関節鏡下関節滑膜切除術の適応病名についてや手術におけるレセプトの注意事項などまとめておきました。
関節鏡下関節滑膜切除術の算定について
まずは術式など診療点数早見表で確認しておきましょう。
K066-2 関節鏡下関節滑膜切除術
- 肩、股、膝 17,610点
- 胸鎖、肘、手、足 17,030点
- 肩鎖、指(手、足)16,060点
この関節鏡下関節滑膜切除術は名前のままです。関節鏡を用いて間接の滑膜を切除する手術です。
関節鏡下関節滑膜切除術はどんな手術なの。
関節鏡下関節滑膜切除術は働いている病院ではあまり多く実施される手術ではありません。骨折観血的手術に比べたら少ない。それでも月に1回〜5回くらいです。
ぼくの簡単な説明よりも専門家の詳しい情報もどうぞ。
膝関節ドットコムによると関節鏡下関節滑膜切除術についてはこう書いてあります。
関節内ですり切れた半月板や軟骨のささくれなどを取り除いたり、増殖した滑膜を除去したりする手術で、関節内の清掃をする手術です。膝での場合、関節鏡を用いた小さな傷で手術でき、変形性関節症の初期には効果の高い手術です。 ただし、軟骨が再生するわけではないので変形を遅らせることが主な目的で行われます。多くの場合、変形性膝関節症に対して最初に用いられる外科的な治療法は、関節鏡視下手術となります。
長くてよくわかりませんね。
とにかく簡単に医療事務的に書いておけば、関節鏡を用いて間接の滑膜を切除する手術になります。
リウマチで行う事も多いですが変形性膝関節症の患者さんでも実施します。なので、レセプトの病名は「変形性膝関節症」で問題ありませんでした。今までは…。
今回のポイントになります。返戻には
関節鏡下関節滑膜切除術の適応病名について確認してください
と書いてありました。
「変形性膝関節症」あるじゃん!何がいけないの?
となりましたので審査機関に確認をしました。
今回は社会保険審査会に電話問い合わせです。
社会保険支払基金の回答には納得できない。
今回のポイントをまとめておきます。
レセプトの病名は
- 半月板損傷
- 変形性膝関節症
がありました。
簡単に書いてしまえば半月板を損傷して膝が痛いわけですね。これらの病名に対し関節鏡下関節滑膜切除術を実施しました。
社会保険支払基金の回答は以下のようになりました。
返戻理由ですが「滑膜炎」の病名が無いから
だそうです。
もう一度書いておきます。
滑膜炎の病名が無いので返戻だそうです。
あー。くだらない。
関節鏡下関節滑膜切除術の適応病名は変形性膝関節症と滑膜炎です。
質問ついでにもう一つ確認しました。
滑膜炎病名のみだったら返戻にならなかったのでしょうか?
滑膜炎のみに対する関節鏡下関節滑膜切除術は過剰と判断されるでしょう。
答えはNGだそうです。
滑膜炎になった原疾患が必要になるみたいです。なので、変形性膝関節症における関節鏡下関節滑膜切除術の適応病名は
- 変形性膝関節症
- 滑膜炎
となります。
2つの病名がないと適応病名を確認してくださいって返戻になります。今後は無駄な返戻を無くすために変形性膝関節症と滑膜炎の病名をつけたいと思います。
本日のまとめ。
今回のように意味不明な理由でレセプト病名は増えていく傾向になります。難しいですね。医療事務としては無駄な査定や返戻になるくらいなら無駄なレセプト病名をつけてでも対応しようと考えるわけです。
そうして必要以上に残業時間が増えたりする原因にもなります。医療事務に転職した当初はレセプト病名の多さにビックリしました。
これがレセプトなんだ!!外者は黙って郷に従え!!
と言われればその通りなんですが数年経った今でも
レセプトの病名多いよね。
と考えています。
まぁ、病院としては無駄な病名が増えても査定や返戻は減る方がいいので、審査機関が言うのなら。と対応しています。