骨折非観血的整復術はどんな理由があろうとも同日2回の算定はできません。そんな徒手整復で算定ミスがありました。悲しい。
詳記を書いても同日・同部位に対する骨折非観血的整復術は査定対象になります。要注意ですね。平気な病院あるのかなぁ。
そもそも普通に考えたら同部位に対して2回の骨折非観血的整復術を行う必要性はありませんからね。なんで2回やるの?1回目は失敗したの?え?どうなの?となります。
なので、今日はK044骨折非観血的整復術についてレセプト点検で同日2回実施して算定しているのを発見したよ。って話を書いてみたいと思います。
K044骨折非観血的整復術とは?徒手整復とは違うの?レポとも言うよ。
骨折の治療方法はいろいろありますが、大きく分けて「骨折非観血的整復術」と「骨折観血的手術」に分けることが出来ます。
骨折非観血的整復術と書くと難しく感じますが、簡単に言うと血を見ないで行うかの違いです。
- 骨折非観血的整復術:血を見ない手術
- 骨折観血的手術 :皮膚切開をして血を見る手術
となります。
骨折非観血的整復術は「非観血的」と書くので、皮膚を切開しないで骨折部を治す治療法です。カルテには「徒手整復」や「整復」と書いてある事が多いです。
ぼくは骨折をしたことはありませんが骨がずれている場合の整復はとても痛いそうです。骨折非観血的整復術も徒手整復も整復もレポ(Repositioning)も同じ意味になります。
紙カルテなので医師の汚ったない字で「Repo」なんて書いてあります。読めません。
漢字で書くと難しいですが、骨折非観血的整復術も徒手整復も整復もレポ(Repositioning)も同じ意味です。
K044骨折非観血的整復術のレセプト病名と算定方法
診療点数早見表にはなんと書いてあるか確認しましょう。
K区分なので手術のページにあります。
K044 骨折非観血的整復術
1 肩甲骨、上腕、大腿 1,600点
2 前腕、下腿 1,780点
3 鎖骨、膝蓋骨、手、足その他 1,440点通知
(1) ギプスを使用した場合にはギプス料を別に算定できる。
(2) 著しい腫脹等によりギプスを掛けられない状態にあるために徒手整復のみを行った場合についても、骨折非観血的整復術により算定できる。その際に副木を使用した場合には、当該副木の費用は別に算定できる。
(3) 徒手整復した骨折部位に対して2回目以降の処置を行った場合は、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものにより算定する。
骨折非観血的整復術については難しい事は書いてありませんね。
尺骨や橈骨は前腕で算定できますよ。1780点の算定が可能です。
よく質問されるのですが、尺骨や橈骨の骨折は1780点の前腕で算定が可能です。
橈骨遠位端骨折や尺骨遠位端骨折は手首に近いので1440点の3手で算定するか悩んでしまいますね。しっかり覚えておきましょう。
同日2回実施について。
同日2回実施をしている患者さんがいました。
理由としては、
- 未就学児3歳の子供で朝保育園で転倒して緊急来院。
- そのまま骨折非観血的整復術実施。
- しかし、子供なので痛さと不安で大泣きで暴れました。
- しかたなくそのまま帰宅。
- 同日、お昼ころ落ち着いたので再来院。
- そこで骨折非観血的整復術を実施
と言う流れです。さて、2回の算定はOKでしょうか?
正解は算定不可です。通知の3にも書いてありますね。
(3) 徒手整復した骨折部位に対して2回目以降の処置を行った場合は、区分番号「J000」創傷処置における手術後の患者に対するものにより算定する。
診療点数早見表をしっかりと確認していれば返戻・査定を防ぐことができたんですけどね。
しかも!過去の査定リストを確認していたら2回算定して査定されていた事例がありました。何事も自分の頭だけに頼らず診療点数早見表で確認する事が大事ですね。
過去査定内容は
- 5日に転倒し来院しました。
- レントゲンにて骨折所見があり骨折非観血的整復術(徒手整復)を施行してギプス固定を行い帰宅。
- その2日後に再診。経過観察のためレントゲンを実施したところ再骨折?を発見。
- 再度、骨折非観血的整復術(徒手整復)を施行。
別部位として病名を付け直すなどグレーゾーンの攻略法もあったと思いますが昔は正攻法で算定したみたいです。
そして見事に査定になりました。
本日のまとめ
過去に査定されたので医事課としては勉強会でも議題に上がっていた内容です。それなのに同じ間違いをするのはレベルが低いと言わざるを得ません。
しっかりと勉強会に参加して診療報酬早見表を確認しておけば同じミスは起こらなかったはずですからね。
会社は学校とは違いますので、いつまでも教えてもらえるわけではありません。わからない事や不明点は自分で勉強していかないと取り残されていしまいますね。
患者さんは小児医療の対象なので患者負担がなかったのが救いです。3割負担の患者さんだったら大きな金額を返金することになっていました。
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