医療事務の仕事は接遇と切っても切れない関係にあります。
患者さん対応を行わない医療事務の仕事は基本的にはありません。受付に立ったり電話に出たりして患者さん対応を行うのが医療事務の大事な仕事のひとつですからね。
無愛想な顔、冷たい顔、暗い顔。受付で患者さんを前にして無愛想な顔でいることに意味はありますか?目の前の作業に没頭し追われている?でも顔を上げましょう。
目の前には患者さんがいます。
医療事務の接遇に関するポイントはたくさんあります。社員教育を専門に商売をしている会社があるくらいですからね。
でも病院と他業種の接遇は少し違います。
なので、今日は実際の現場でに立つ病院受付での接遇について書いておきます。
医療事務の接遇とホテルフロントの接遇が決定的に違うところ
まずは接遇について。
接遇(せつぐう)とは、接客業務時における客に対する接客スキルのことをいう。
お客さんに対するスキル。接客スキルのことを接遇と言います。
病院で求められる接客スキルとホテルで求められる接客スキルは違うのはなんとなく理解できるでしょう。つまりお客さんが変われば必要なスキルも変わってくるのです。
決定的に違うのは病院という場所は患者さんが何かしらの疾患を抱えていることです。風邪をひいた。体が痛い。など。
基本的に元気な人は病院にくる必要はありません。
ホテルフロントで丁寧な対応が正解だとしても病院でも同じことをするのが正解ではありません。
一人の患者さんに丁寧に対応するのが良い接遇ではありません。
では病院や医療事務にとって必要な接遇はなんなのでしょうか?
それは、目の前にいる患者さんに対して必要としていることをするのが良い接遇になります。
接遇の研修などでは
- 目の前の患者さんに丁寧に対応しましょう
- 1人の患者さんを対応している時に他の患者さんを対応するのはダメ
なんてよく言われます。
でもぼくはこれが正しいとは考えていません。
だって患者さんが求めているのは「丁寧な対応」ではありませんからね。
患者さんが求めているのは「質問や不明点や問いかけに対する答え」です。患者さんは答えが欲しいのです。
なので、答えを出してあげることを最優先にするべきです。
丁寧であることは大事ですが受付がパニックになっている状態では患者さんを待たせることも悪です。目の前の患者さんは不安になって困っているから病院に来院しているんです。
これって「要領がいい」なんて言葉で簡単に言われていますがもっと深く考えた方がいい内容です
どれだけ早く対応しても良い接遇はできる。
ぼくが実践している接遇について
具体的にどんな方法で医療事務の接遇を考えたらいいのでしょうか。
いきなり答えが出るものでもありません。
ぼくは学者でもなければ研究者でもないので実際に行っている方法を書いておきます。
もちろん、この方法が必ずしも正解だとは言えないので、働いている病院やクリニックに合わせて参考にしてもらえたらと思います。
無愛想な顔で受付に立たない。
その1
会社員の給料は基本的に固定です。残業した分が変動するくらい。
「昨日飲み過ぎたわ。だりぃ」とか「明け方までゲームしてたから寝不足」なんて状態でも会社に行けば給料は発生します。むしろ有給休暇なんて方法もあります。
でもね、スポーツ選手や音楽家はパフォーマンスが悪ければ次はありません。そのため毎日の仕事に真剣になります。
イチロー選手が試合の前日に飲みすぎたり、寝不足のままということはないでしょう。社会的に活躍している人はパフォーマンスを最大限に引き出す努力をしています。
病院の受付で最大限のパフォーマンスを!!なんて言いません。二日酔いでも、恋人と喧嘩してても、ゲームで寝不足でもいいです。
でもそれが無愛想な顔で受付に立つ理由にはなりません。
目の前の患者さんはもっと大変かもしれませんよ。
患者さんと会話をする時に受付を出る。膝をつく(目線をあわせる)
その2
病院は高齢の患者さんが多いです。高齢になると耳も遠くなるし足も悪い人が多いです。僕たちには簡単でも難しくなります。
耳の遠い患者さんに対しては耳元で聞こえるように説明します。場合によっては受付カウンターを出る必要があります。
車椅子に座っている患者さんに対しては膝をついて低い姿勢になります。無理して膝をつく必要はありませんが車椅子の患者さんと同じ目線で会話をするのは大事です。
患者さんに寄り添う姿勢があるとそれだけで接遇効果はあります。
ぼくの働いている病院では患者さん対応時は基本的に膝をついたり屈んで対応するように指導しています。患者さんと目線をあわせましょう。
他院では車いすの患者さんに立ったまま対応していたので、
そんな病院もあるんだなぁと実感しました。
患者さんを待たせない。申し送りの徹底。
その3
患者さんからは多くの問い合わせがあります。診療案内もあれば書類等の受取連絡かもしれない。入院費の支払いかもしれません。
もちろん受付では物理的に混雑して無理なときもありますが、それ以外の通常時には患者さんを待たせないように意識しています。
少々お待ちください。と言って5分も10分も待たせてはいけません。〇〇の件です。と言われればわかるようにしています。待たされる5分はとても長い。
この患者さんはどんな理由で来院したの?わからない!が無いように申し送りの徹底をしています。
患者さんの来院時にはどんな理由で来院したのか明確であれば受付でもしっかりと対応できます。
電話でも待たせないようにしています。
すぐにわからなければ確認して担当者から折り返すようにしています。保留にして待たされる1分はとても長い。
最近は携帯から電話してくる人も多いため1分や2分でもそれなりの通話料を負担させていることになります。
ロボットができることを人間が行う理由を考える
その4
現在の医療事務が担っている仕事の多くはロボットなどのコンピューターに代替え可能なものが多いです。こればっかりは否定できない事実です。
関連記事:医療事務なら知っておきたい医療の人工知能(AI)の進化。
それでも人間が行う必要性を考えてみるとこれからの医療事務の未来が見えてくるんですよね。人件費と言う多大なコストをかけてまで配置する必要はある?
少なくともロボットなら与えられた仕事は確実に行います。
患者さんが質問してきた時に、受付番号を取ってあげる(後回しにしない)、座らしてあげるなど患者さんの状況に応じた接遇ができるのが人間の強みでしょう。
その小さな積み重ねが病院評価にも大きな影響となるでしょう。
やってもやらなくても同じならやろう。患者さんはそこで待っている。
受付で天使のような笑顔で対応しても、無愛想に対応しても給与に差はありません。営業職など業績が反映されるなら無愛想に対応する事はないんですけどね。
それもで絶対にやったほうが良いです。やってもやらなくても同じならやろう!受付にいる時間をダラダラ無愛想に過ごすのは勿体ないです。
時間をどのように使えるかで数年後の実力差は埋められないほど広がります。
患者さんに親身に対応できないのであれば、医療事務と言う仕事は向いていません。
どんなにレセプト点検を完璧にできる人だとしても接遇能力が低いのであれば活躍することは難しくなります。医療事務資格だと言っても、それだけをやる人はいませんから。
患者さんに対して親身に低姿勢で対応できない人は、それだけで病院や医事課の足を引っ張っている事を知っておくべきですよね。