退院時処方についてまとめました。
入院している患者さんが退院時に持って帰る退院時処方は退院先が在宅であれば算定が可能です。まずこれが結論です。
逆に言えば退院先が在宅ではない場合は算定ができないということになります。
そもそも在宅とは?
在宅などと曖昧な言葉を使うので難しくなるのです。
・なんで在宅に退院する時だけ算定することができるの?
診療報酬の算定における在宅の定義はしっかりと定められております。
そしてなぜ在宅に退院する時だけ退院時処方が算定できるのでしょうか?退院時に持って帰る薬剤なのだから病院で算定してOKのような気がしませんか。
またレセプトの記載はどのようにしたらいいのでしょう。
今日はそんな退院時処方についてまとめておきます。
退院時処方は患者さんが在宅に退院する場合に算定可能です。
まず結論から。
退院時処方は患者さんが在宅に他院する場合に限り算定が可能です。これは診療点数早見表にしっかりと記載がありますね。
退院時処方に係る薬剤料の取扱い
投薬に係る費用が包括されている入院基本料(療養病棟入院基本料等)又は特定入院料(特殊疾患病棟入院料等)を算定している患者に対して、退院時に退院後に在宅において使用するための薬剤(在宅医療に係る薬剤を除く。)を投与した場合は、当該薬剤に係る費用(薬剤料に限る。)は、算定できる。
なので他の病院に転院する時などは算定ができません。
在宅の定義とは?自宅以外にはどんなところが在宅と言えるのでしょうか?
診療点数早見表には退院後に在宅において使用するためには退院時処方の算定が可能と書いてあります。
では在宅の定義はあるのでしょうか?
在宅と言うからには自宅に退院する時はもちろん算定可能ですが、他にはどんな退院先が在宅になるのか見ていきましょう。
簡単に考えると医師がいるところかどうかで判断するといいですね。
つまり以下の場合は退院時処方の算定ができません。
- 他の病院に転院するとき
- 他病棟へ転棟するとき
- 介護老人保健施設へ退院するとき
算定をしてはいけない理由は退院先に医師がいるため処方が可能だからです。
退院元の病院で保険請求を行っているにも関わらず、退院先でも保険請求をしてしまうと2重請求となってしまいます。
これで実際に査定になるかは別問題ですけどね。
急性期病棟から包括病棟に転棟するときには査定になりますが、他院に転院した時は査定になったことはありません。
今後はコンピューターチェックが進んでくれば明確なルールが作成されるかもしれませんね。
退院時処方が算定可能な在宅一覧。
上記内容を踏まえ退院時処方の算定が可能な在宅の一覧も掲載しておきます。
※介護サービスについては詳しくないので他にもあるかもしれません。
- 自宅
- サービス付き高齢者向け住宅
- 居住系介護施設
- 介護老人福祉施設
- 有料老人ホーム
- グループホーム
これらの場所に退院する場合にかぎり退院時処方を算定は可能です。
なぜなら、医師がいないので処方を受けることができないから。
他院時処方を算定する時にレセプト記載はコメントで対応
レセプトには退院時に処方したことがわかるようにコメント表示で変化をつけています。
全てをコンピューターチェックしてしまえば意味がないものになりますが、一応退院時に処方がわかるようにコメントで対応しています。
- ロキソニン 14日
- ロキソニン(他院時処方)14日
みたいな感じです。
間違えて普通にレセプト請求をしたこともありますが特に査定も返戻もありませんでした。
本日のまとめ
退院時処方は明確な記載もないのでグレーな部分がたくさんある算定項目になりますね。診療報酬改定の度に明確な文言が記載されると思っているのですがなかなか対応されません。
厚労省の中の人も点数配分が少ない退院時処方についてあれこれ考えるよりも優先順位が高い項目がたくさんあるんでしょうね。
レセプト担当者としてはグレーな部分は嬉しい反面いつ査定や返戻になるかわからないドキドキでもあります。
判断がむずかしいような時もありますがぼくの働いている病院では在宅の定義を退院先に医師がいるかどうかで判断しています。
- 医師がいる退院先(転院や老健):算定不可
- 医師がいない退院先(在宅) :算定可能
そんなこと言っても実際に退院する時は退院時処方を渡すのが基本となっているので病院としては7日〜14日分程度の処方はサービスしているのが現状ですね。
たとえ算定ができない退院先であっても退院時処方を持たせないで送り出すことは失礼に当たるみたいです。
この辺は相談員の連携次第なのでしっかり連携している退院先では指定された分のみの退院時処方をすることもあります。