病院の領収書は再発行できない?紛失時の医療費控除の対応策について

病院の領収書を再発行 ニュースとか医療雑学
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毎年11月くらいから病院の領収書を再発行して欲しいと問い合わせ増えてきますね。

確定申告の医療費控除に使うためです。医療事務あるあるではないでしょうか。

入院した患者さんや年間を通じて来院している患者さんには多いです。問い合わせのピークは12月をすぎてから2月くらいです。高齢者に多い。

医療事務なら誰もが経験したことのある問い合わせでしょう。

領収書を紛失してしまったので一年分の領収書を再発行してほしい。

こんな感じの問い合わせです。

ほんの
ほんの

知らんがな。

と思いながらも、医療事務は病院受付のプロフェッショナルでなければなりません。

しっかりと対応をする必要があります。

なので今日は病院の領収書の再発行について書いて見たいと思います。

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病院の領収書の再発行について。紛失したらどうしたらいい?

病院の領収書の再発行はできません。まずこれが結論。

もしかしたら全国の病院を探せば再発行をしている病院もありますが、ぼくの知っている限りでは再発行をしている病院はありません。

病院に限らず領収書の再発行はどこでもやっていません

これは領収書の性質を考えれば当然ですね。領収書は商品や行為が行われたときに発行されるものです。

何度も再発行をしてしまうと不正使用に使用される可能性もあります。最悪の場合は病院が責任を問われる可能性もあります。

また領収書を発行する義務はありますが「再発行に応じる」という義務はありません

なので、もしも再発行を気軽に行っている病院は注意した方がいいです。ではどうしたらいいのかと言うと「領収証明書」など領収書と同等の意味を持つ支払いの証明書を発行します。

病院によって名前は違うかもしれませんが基本的には同じものです。

もちろん確定申告でも使用できます。

領収書の再発行と領収証明書の法的な違いについては税理士や弁護士の範囲なので詳しく知りたい場合は別で確認してください。

そもそも医療費控除とは?なんのために行うもの?

医療事務の受付には医療費控除なんて関係ない若い人が多いです。

ぼくが働いている病院でも20代が多い。そうなると医療費控除について知らないスタッフもいます。

何も知らない医療事務よりはある程度は受け答えができる受付であった方が病院としてもいいでしょう。必要な知識を受け答えできるのも立派な接遇ですからね。教育だ!

医療事務には直接は関係ない確定申告と医療費控除ですが、知っていれれば差がついてくるポイントです。

医療費控除とは!!

ほんの
ほんの

多くの医療費を使った人は確定申告してくれれば税金を安くしてあげますよ!申告しない人は知りません。

って制度です。なので医療費をたくさん使ったなぁ。と言う人は申告したほうがいいです。

しかもセルフメディケーション税制なんて言う新しいルールもありますので患者さんにしてみればチンプンカンプンですね。

金額は細かいルールがありますが基本的には10万円を支払った場合は医療費控除の対象になります。1割負担の高齢者ではなかなか行かない金額です。

そもそも年金生活の高齢者の大多数は支払う所得税も低いので医療費控除の必要性に疑問がありますね。まぁこれは別問題なので今度にしましょう。

医療費のお知らせが医療費控除で使用可能。患者さんに教えてあげて。

また、領収証明書の再発行をしなくても健康保険組合から届く「医療費のお知らせ」が医療費控除に活用できるようになりました。

平成29年度税制改正により平成30年1月1日以降に行う所得税などの医療費控除の申告手続きにおいて従来の医療費などの領収書の添付に変わり保険組合が発行する医療費のお知らせが活用できます。

税制改正により医療費控除が簡単になりました。

で、どんな改正だったかというと、確定申告で医療費控除を受けるためには領収書の添付が必要でしたがそれが不要になり医療費控除の明細書に添付するだけでOKになりました。

医療費のお知らせ

領収書を紛失したと言ってくる患者さんには健康保険組合から発行される医療費のお知らせを使えばいいんですよ!!と言ってあげたらとても親切になりますね。

  • 過去:病院の領収書は再発行ができない。領収証明書など(病院によって名称は違うと思います)を発行したりして対応していた。
  • 現在:保険組合から届く医療費のお知らせが確定申告で使用可能。患者さんが領収書を紛失していてもOK。
ほんの
ほんの

これは患者さんの中にはまだ知らない人も多いでしょうね。

病院としても生産性の向上につながります。減収にもなるけど。

患者さんに発行していた領収証明書はお金をもらっていたので(ぼくの働いている病院では2000円)発行する枚数が多いほど収益も増えます。

それが領収証明書で対応可能となればその分病院としては減収になります。

しかし、医事会計システムが対応していないので別用紙に手書きして病院の印鑑を押していました。お金に関することなのでダブルチェックも入念に行う必要があります。

書類担当の仕事時間を多く使っていました。領収証明書を発行する人件費コストと得られる金額を考えるとどうなんでしょうね。病院によって判断は分かれるでしょう。

ぼくは生産性が上がる方を取るので2000円の収入は捨てていいと思います。

患者さんだって無駄なお金を支払う必要はありませんからね。なので、患者さんへのサービスとして医療費のお知らせが医療費控除に使えるというのは教えてあげます。

差額ベット代(有料室)やレンタル料品代は医療費控除の対象外です。医療費控除で聞かれる質問。

医療事務の受付で患者さんから質問されることが多い内容ですが、差額ベット代(有料室)やレンタル料品代は対象外です。

基本的には医療費控除の対象外

基本的には、と書いたのは場合によっては認められる可能性があるからです。

厚労省のHPにも書いてあります。

(3)本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、医療費控除の対象になりません。

つまり治療の目的で必要であった場合は医療費控除の対象になる!可能性があります。詳しくは税務署に問い合わせになります。

(1)入院に際し寝巻きや洗面具などの身の回り品を購入することがありますが、これは医療費控除の対象になりません。

と書いてありますのでこれはパジャマなどのレンタル料品代は対象外です。

ほんの
ほんの

このあたり基準が難しいので医療事務で勝手な判断はしないようにしましょう。

確定申告の判断は税務署にあります。

本日のまとめ。

いろいろと書いてきましたが医療事務として知っておきたいポイントは以下の通りです。

  • 病院では領収書の再発行はしない方がいい
  • 医療費控除には年間10万円の医療費の支払いが必要
  • 10万円に届かない場合はセルフメディケーションも
  • 医療費控除に診療費と入院食事代は対象になる
  • 有料室やレンタル料品は対象外です
  • 確定申告の最終判断は税務署がおこなう
  • 医療費のお知らせで対応可能になった

受付では色々なことを聞かれます。

新しい税制のような情報に答えるだけで、この人はできる!!良い病院だな!!と思われるでしょう。そうやって、ものごとが良い方向へ循環していくといいですね。

なお、医療機関から請求された診療情報が保険組合に届けが2ヶ月ほどかかるため医療費のお知らせについている情報は完全に新しいとは限りません。

必ず確認するようにと患者さんに伝えてあげてください。また医療費のお知らせを発行していない保険組合もあるみたいですね。

詳しくは国税庁のHPを参照するか税務署に確認をしてください。経理とか財務などの部署には詳しい人がいるかもしれませんね。

No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|所得税|国税庁

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