最近は病院やクリニックでも現金以外の支払い方法を導入しているところが増えてきました。
クレジットカードだけでなくデビットカードや電子マネーにも対応している病院もありますね。駅前のクリニックでは若い患者さんも多いので実験的に多くの支払い方法に対応しています。
ぼくは現金を持ち歩かないタイプなのでこういった病院が増えてくるのは嬉しいです。
それでも、まだまだ病院やクリニックは「現金のみ」のところが多いですけどね。カードが使えないという理由で違う病院に行く人も増えている事実があります。
ぼくが働いている病院でも支払い方法が複数選択できるようになっています。支払い方法の多様化。
- 現金
- クレジットカート(VISA、MasterCard、JCB、アメックス、銀聯)
- 電子マネー(交通系ICカード、ID、クイックペイ、Edy)
- デビットカード
などなど。最近ではQR決済のやLINE PayやPayPayなどにも対応しようと検討しているところです。
これが良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが支払い方法の多様化は患者さんの便利性を考えれば良いことですね。
今日はそんな病院やクリニックでのクレジットカードやデビットカードなど現金以外の支払い方法について書いてみたいと思います。
病院やクリニックはなぜ現金支払いのみのところが多いの?クレジットカードやデビットカードでは手数料の支払いがあるからです。
なぜ病院やクリニックではクレジットカードが使えないかというと、手数料がもったいないからです。あとは導入がちょっとめんどくさい。
経営者視点で考えてみると、設備投資としてお金を使いクレジットカード決済の設備やシステムを導入して、さらに大事な収入源からも手数料を引かれます。
お金が取られるばっかりじゃないか!!ということで、費用対効果を考え不要と判断することもわかります。
今までならね。
日本は高齢化社会で現金派の人がまだまだ多勢です。少数のためにお金をかけてまでクレジットカード決済の機器やシステムを導入する必要はありませんからね。
では手数料がいくらなのかと言うと1%〜5%くらいと言われています。
収入から5%のお金を手数料として支払うのは高いのでしょうか。
もう少し書いてみます。
手数料を上回るメリットがあれば院長や事務長は導入を検討するかもしれませんね。実際に導入したら新規利用者が増えた話。
病院という形態は実際の手数料は他業種よりも実質は少なくなります。
これは皆保険制度のおかげです。病院の窓口で支払うのは自己負担分の1割から3割などです。
例えば1万円の請求をする(病院に1万円が入ってくる)
患者さん負担は3割でも3000円になります。手数料が5%なら150円をクレジット会社に支払うことになります。病院は7000円を保険組合や国保、2750円を患者さんから支払われるので合計は9750円です。
しかし普通の小商なら10000円に対し5%をクレジット会社に支払うので500円になります。なので小商としては9500円の収入になります。
これは病院やクリニックならではのお得な部分ですね。
そのほかのメリットも考えてみました。
選択肢が増えることによる患者満足度の向上
カード決済を導入すると患者さんによっては喜ばれます。
ポイントがたまるとか、そもそも現金を持ち歩きたくない人もいます。つまり「選択肢の増加」による「患者満足度」の向上です。
現金のみではなく、クレジットカードやデビットカードも使用可能とすることで病院選択のひとつになります。ぼくはクレジットカードが使えるお店に優先的に行きます。
歯医者も美容院もクレジットカードが使えるところに変更しました。
最近頻回に楽天ペイやLINE PayやPayPayなどキャンペーンを行っているので、患者さんにとっては純粋に割引なる可能性もあります。
未収金の減少につながる
医業未収金にも大きな改善効果があります。
病院で未収金が発生するタイミングは入院時や救急診療の時です。導入以前は手持ちの現金が不足していたら後日会計になっていました。
支払いの選択肢にクレジットカードやデビットカードがあることで未収を防ぐ効果があります。現金は持っていないけどクレジットカードやデビットカードなら持っている人も多いです。
実際に未収金の件数は減少傾向にあります。医業未収金は大きな問題ですから減少できるのであれば良いですよね。
国もキャッシュレスに向けていろいろと施策を行っています。
総務省のHPにも書いてあります。内容は病院でもクレジットカードが使えるようにして!みたいなことです。別に読む必要はありませんがPDFを読みたい人は以下のリンクをどうぞ。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000105940.pdf
次なる目標は仮想通貨とQRコード決済の導入です。そもそも幹部のおっさんたちは仮想通貨やQRコード決済をビットコインとは?PayPay?なにそれ?うまいの?!ってところからスタートなんでなかなか進みません。
病院全面的に導入してアピールすれば全国的にも珍しいパターンです。それだけで導入費用はクリアできると思うんですけどね。そのデータを集めればさらにいろいろと楽しめるんですけどね。先行有利。
手数料以外にもデメリットもあります。医療事務や病院事務で知っておきたいクレジットカードやデビットカードの問題点。
次はデメリットです。
まずは上記にも書いた通り手数料問題です。できることなら現金で回収した方が目先のお金は多く残ります。5%くらいの手数料は馬鹿にできない金額になりますからね。
今後キャッシュレスが基本になれば5%くらいの手数料はコストとして問題なくなります。現金を数えたり運んだりお釣りを用意する人件費の方が高くなります。
当分先の話でしょうけどね。
そのほかには
会計窓口の混雑化
本来であればクレジットカードやデビットカードを導入すれば混雑は解消されるはずです。
しかし!!病院という場所はそんなに甘いところではありません。現金主義の高齢者が多い病院で支払い方法を複雑化すればそれだけ混乱が生じます。
クレジットカードの支払いに慣れていないと暗証番号忘れてしまったり、限度額不足で入院費の支払いができないこともあります。
クレジットカードが理由で使えない理由は病院ではわかりません。
端末にクレジットカードを入れてセンターから「このクレジットカードは使えません」みたいなメッセージが出るだけなので。
そんな説明に納得しない事(できない)が多いのも高齢者の特徴でしょうか?使えない理由を病院からクレジットカード会社に問い合せろとか病院の機会が壊れているとか…。
病院ではクレジットカード会社問い合せすることは出来ません。
正しく書くのであれば、問い合わせは出来ますがクレジットカード会社は使用できない理由を絶対に教えてくれません。
「病院ですが〇〇さんのクレジットカードが使えません。理由は限度額ですが?それとも他の理由ですか?」
クレジットカード会社「個人情報になるのでお伝えする事はできません。本人様からお問い合わせ願います。」
みたいな感じになります。
Suicaの残高不足もけっこうあります。Suicaで支払った後に帰りの電車に乗れないから返金してほしい!なんて言われたこともあります…。
会計担当の負担が増える
会計業務が複雑化すれば会計担当や経理担当は負担が増えます。
これは働いている病院の経理フローが昭和なのが原因です。
クレジットカードなどはデータ管理ができるのが最大のメリットです。なのにシステム連携が不十分なために恩恵を得られていません。
ただただ業務量が増えただけという悲しいことになります。
なので、導入をするときはちゃんとわかっている人と相談して業務フローにあった方法で導入しないといけませんね。
クレジットカードなどは月遅れで入金されますので現金ベースで管理している病院は事務作業が増えます。また決算時などにも影響してきます。
本日のまとめ
現金以外の支払い方について病院側の意見をメリットとデメリットに分けていろいろと書いてみましたが。患者さんにしてみれば支払い方法がたくさんあることは良いことです。
しかし支払い方法を増やせば増やすほど病院側のコストは事務員の作業も手数料も増えていきます。この判断は難しいところですね。
本当はしっかりと制度設計ができる人がいればクレジットカードやデビットカードの手数料よりもその後のデータ入力などの手間が簡素化できる方が圧倒的にメリットなんですけど。なかなかそこまでできる人は多くないです。
ぼくが働いている病院はクレジットカードやデビットカードの使用が可能です。そのほかには交通系ICカードも対応しています。
支払い方法は多くの種類を用意しておりますが、結果としては高齢者が多い病院なので利用率は想定より上がっておりません。
クレジットカードやデビットカードの導入で未収金は減りましたが手数料もかかっています。そして担当者の作業量は増えています。
今後10年くらいでどのような変化があるか楽しみですね。