医業未収金が大変な事になっている。年間500億円以上。病院経営の改善のために。

医療未収金の実態 医療事務的コラム
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ほんの
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今日は医業未収金について書いてみたいと思います。

医業未収金とは、病院で回収できるハズのお金が入ってこない!困った。という状態です。

病院は診療を行いその対価としてお金をいただきます。患者さんは病気やケガのため治療を受けてお金を支払います。

まぁ、普通の流れでしょう。ギブアンドテイク。

日本では皆保険制度のため間に健康保険組合と審査支払機関が入ります。

皆保険制度の概要

しかし、様々な理由で患者さんからお金を回収できないことがあります。

そのために医業未収金が多くなっているよ。ちょっと度外視できない金額になっているよ。ちゃんと考えていかないと大変なことになるよ。と言う話です。

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医業未収金が過去最大級に膨れ上がっている。

そもそも診療報酬改定をする理由は「お金がないから」ですよね。

地域包括ケアシステムとか診療行為の最適化なんてカッコイイこと言っていますけど。

もっと簡単に言えば、

ほんの
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高齢者が増え続け医療費の財源が不足している!ピンチ!ちょっとヤベー。急性期は減らして回復期リハビリに移行しよう。なんなら介護保険で。

なんて具合です。

病院ごとに未収金が発生していると思います。ある程度の規模の病院なら「未収金ゼロ」は無いでしょう。

ぼくが働いている病院でも医業未収金は着々と増えており、前年比から見ても2倍近い数字に増えています。

受診したのにお金を払わない人がどんどん増えています。ピンチ!!

会計担当が回収業務をサボっている訳ではありません。今まで通りのフローで回収作業は行なっております。未収金が発生しないような対策もそれなりに行っております。

しかし年々少しずつ回収率が悪化しています。

お金をもっていない患者さん」が増えてきている。外国人の未保険問題も考えなくてはいけません。インバウンド施策の弊害。

病院側で未収金を発生させない努力はもちろん行っていますが、努力だけではどうしようもできない事も多くあります。

医業未収金は年間400〜500億円ともいわれている。

以前参加した勉強会では、医業未収金は全国の病院で年間400〜500億円と膨れ上がっていると言ってました。400億円って無視できない金額ですよね。

そのほかググったら以下のニュースもありました。

853億円 - この数は,四病院団体協議会が加盟する5570病院の未収金を推計した金額である。未加盟である病院,さらには診療所を加えれば,我が国の医療機関における未収金の総額は,軽く1000億円を超えると考えられる

第9回 医業未収金と経営管理 - インナビ・アイズ

これが全部回収出来たら給料も相当増えます。

この数字は信憑性のある数字だと考えています。そのほかにも厚労省が100床あたりの未収金を発表しているので日本全体の病床数を考えれば妥当な金額になりそうです。

クリックして000497101.pdfにアクセス

上記厚労省のPDFによると月間で100億円程度なので年間で1000億円になります

働いている病院の医業未収金はどのくらい?知っておくといいですよ。
今日ここで言いたいのは病院の未収金がとてつもなく大きな金額になっているよ!ということです。1000億円と言ったらJリーグやスマートフォンの市場規模になります。

医業未収金が増える理由。それは患者さんに優しい医療制度だから。

知らなかったのですが、日本の医療法だか医師法では目の前に病気やケガの患者さんがいたら医療行為をしなくてはいけません。

つまり、その患者が無保険証だろうと宇宙人だろうと無視する事は禁止されています。病気ケガとお金は別問題なんです。

ほんの
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医療倫理ってやつです。

これは飲食店など他業種では考えられない出来事ですね。お金を持っていない人はコンビニではお腹を満たすことは出来ません。

日本が世界に誇る国民皆保険制度ですが、実際の現場では未収金が膨れあがっており崩壊寸前となっています。

病院は未収金が発生しやすい形態。救急や生保や自賠や労災。例をあげればキリがありませんね。スーパーやコンビニとは違いますね。

未収金を発生させない仕組みが大事ですね。

「未収金=悪」と決めて医事課全体で病院全体で未収金を発生させないようにしなくてはいけません。

会計窓口でお金が足りないと言われた時どうしますか?

「じぁ来週で良いですよ。」と言うか、「近くのATMでおろしてきて下さい。」と言うか。「クレジットでもICカードでも払ってもらうか。」

これだけでも全然違います。病院としてのルールが曖昧なら統一したルールにしましょう。

地域に根差した病院や診療所だとアットホームを売りにしている所もあります。しかし患者さんに優しくするのと未収金を認めるのは違います。

入院の未収金も同じ。簡単に分割を認めたりしてはいけません。

生活保護の人が自費で会計が発生する時(予防接種等)お金がないとなったらどうしますか?スタッフ全員で同じような対応ができるように教育していく必要がありますね。

本日のまとめ。医療費は増え続けるのでそれに従い未収金も増えていきます。

ぼくの働いている病院がある地域では未収金になる比率は現役世代が多いです。

65歳以上のリタイア世代はお金を持っているんでしょう。

40代や50代の病気が増え始める世代が入院手術をすると支払い不能になります。

ほんの
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なかなかリアルです。

40代や50代は子育てにもお金が一番必要な時期なのかもしれませんが、それでも未収金の発生が多いのは気になります。

そして、さらに若いぼくたちの世代はどうなるんでしょう。増え続ける非正規採用。上がらない所得。減り続ける年金。足りない人口。

終身雇用の崩壊も言われています。

ぼくの頭じゃ、なかなかいい絵を描けませんが少しでも笑っていけるように努力を続けるしかありませんね。

どこかに医業未収金を完全に防ぐいい方法はないかぁ。

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