今日は病院の未収金を回収するために行動した話です。
病院の未収金(医業未収金)は規模が大きくなるにつれて金額も大きくなっています。患者さんが増えればそれだけ支払いができない人も増えます。
救急外来があるような病院では外国人や無保険者、旅行者など未収金を回収できないで苦労しています。
ぼくが働いている病院でも未収金は大きな問題です!
このあたりのノウハウが不足していたので勉強も兼ねて弁護士に相談をして成年後見制度を利用しました。
弁護士さんに相談するとどのような行動ができるの?成年後見人制度とはなんなの?わからないで不安でしたがなんとかなりました。
半年間も時間を使い未収金回収に向けてスタートを切ることができましたのでまとめておきます。
未収金対策のため役所の高齢福祉課と弁護士のセンセと打合せ。成年後見人市区町村申立。
認知症や介護度のついている親の年金を働いていない子供が使ってしまうケースが増えています。金銭的高齢者虐待。かなしいですが。
1割負担なのに未収金が50万円や100万円なんてケースも増えているみたいです。
— 医療事務研究員 ほんの (@iji_lab) June 17, 2019
病院の未収金を回収するためにやったことのまとめ。
今回の内容が誰にでも通用するかわかりません。対象としては以下のような場合です。前提条件。今回の場合。
- 入院中(認知症あり)女性80代で金銭管理を含めたキーパーソンは長女
- 夫は他界 長女は50代独身
- 入院前は持ち家に娘と二人暮らし
- 入院後容態安定のため関連老健に入所
- 入所後面会回数も減り、支払いも滞るようになる
- 最終的には長女と連絡普通で未収金が100万円を超える
こんな感じのパターンを想像してください。
80代の母親本人に認知症があるため退所もできず(長女と連絡が取れないため)支払いも滞るようになった話です。
この100万円を超える未収金を回収するために
- 弁護士に相談。成年後見制度の活用がいいのかもしれない
- 役所に相談。成年後見制度を利用したい
- 役所、包括支援センター、自分 3者面談。
- 役所による調査、親族、口座など
- 内容証明郵便 配達証明 簡易裁判
- 裁判所提出書類作成 診断書 鑑定書
- 成年後見制度 弁護士の選定
- 自宅の売却(強制執行)
みたいな流れになりました。
もう少し詳しく書いてみます。
高齢者の親と未婚の50代子。収入は親の年金が頼り。頼れる親族がいない。みたいな家族が増えている
政府は2000万円とか3000万円が不足するから貯蓄をしておきましょう。なんて言っていますが貯金どころが日々の生活もギリギリなんて人も多いです。
今回であれば50代の子の長女が無職であることが問題なのですが、似たような世帯は本当に多いらしいです。
たまたま働いている病院に入院して未収金が増えたため問題が発覚しました。
アメリカのようにお金が無いから病院に行けないようにすればいいとも思えませんが、今後に多様な問題が多発する可能性は否定できません。
高齢者虐待、経済的虐待として市役所に相談に行ったよ。成年後見人市区町村申立について(老人福祉法第32条)
唯一のキーパーソンである50代の長女から回収不能と判断して成年後見人市区町村申立するため相談しました。
老人福祉法には高齢者の権利を守るため
- 経済的虐待:本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人が希望する金銭の使用を理由なく制限すること
- 介護・世話の放棄・放任:必要な介護サービスの利用を妨げる、世話をしない等により、高齢者の生活環境や身体的・精神的状態を悪化させること
など、多くの項目が定められています。
東京都保健福祉局が詳しく書いてあります。(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/zaishien/gyakutai/understand/shuruitoteido/index.html)
スタートするまでに4ヶ月以上。時間がかかるのでその間も未収金は増えていく一方です。
最初に相談してから成年後見人市区町村申立が行われるまでに多くの時間が必要になります。
その間も未収金は増えていく一方です。
なぜ時間がかかるの?それは
- 打ち合わせ
- 自宅訪問(不在の確認)
- 親族調査(助ける意思の確認)
- 年金口座、そのほか財産の確認
など多くの状況を揃えておく必要があるからです。
親族は100万円以上の未収金を支払ったり今後の面倒をみると言ってくれる人はいませんでした。年金口座は支給日に引き出されていました。ほぼ残高ゼロ。
弁護士が債権回収に強い人で良かった。未収金支払いのため不動産売却。強制執行
成年後見人が確定すれば年金口座の管理が行えるので毎月の支払いは滞ることはありません。しかし年金支給額に対して未収金を完済するまでには時間がかかりすぎることからそのほかの方法を検討する必要がありました。
このあたりの内容については多くの方法があります。
本来であれば50代の娘さんが支払ってくれるのが筋なのですが、無理な状況だったため不動産の売却しかも最終手段である強制執行となりました。
本日のまとめ。未収金の回収はとても大変。未収金を発生させない仕組みがあるといいですね。
半年以上の時間を使って100万円の未収金を回収しました。
正直言って労力には見合わない。
今回は勉強の意味もあり最後までやりましたが今後もやり続けるかは難しいところです。
債権の回収には期限もあります。会社に利益が出ているのであれば未収金を損金処理すれば税金が減る。みたいな考え方もあります。
成年後見制度を利用して不動産売却などを行おうとしても立退きがうまくできなかったり裁判が長引いたりして思ったような結果が出ない可能性も十分にあります。
基本的はゴネ得なのです。
このあたりはググるとたくさん出てきます。裁判には勝てなくても負けない方法はたくさんあるのです。
なので、そもそも未収金を発生させない仕組みを取ることが大事ですね。