処方箋がなくても医薬品が買える零売薬局。制度のまとめと今後の展望について

この記事は約5分で読めます。

処方箋がなくても医薬品が欲しい!と考える人は多いでしょう。

ほんの
ほんの

いつもと同じ薬が欲しいだけなのに診察して調剤薬局に行くのは時間がもったいない!!

ただでさえ調剤薬局では待ち時間に関する問題は山積みですのでリフィル処方箋が話題に上がったりもします。

また、風邪をひいたり、湿疹が出たりした時に、ドラックストアの市販薬よりも定期的(または以前)に処方してもらった医薬品がいい!!なんて可能性もあります。

なんにせよ、厚労省がガチガチに固めている診療報酬という制度の中で民間が面白い可能性を見出してくれたことは一見の価値があります。

処方箋がなくても医薬品が買える零売薬局が100店舗のチェーン展開を目指してスタートしました。

今日はそんな零売薬局について書いてみたいと思います。

スポンサーリンク

零売薬局とは処方箋なしでの販売が認められた医薬品を薬剤師のもと販売する薬局のこと

ぼくはよく知らなかったのですが零売薬局とは

零売(れいばい)とは、医療用医薬品を処方箋なしに、容器から取り出して顧客の必要量だけ販売することをいう。分割販売と呼ぶこともある。処方箋医薬品は、原則として零売することはできない

Wikipediaより(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%B6%E5%A3%B2

ほんの
ほんの

難しいですね!!

零売薬局とは医療用医薬品を処方箋なしに販売する薬局です。

なんて言われても…。

医療用医薬品とは何?それって駅前のドラックストアと何が違うの?って話です。

もう少し簡素に書いてみましょう!

医療用医薬品は15,000種類。処方箋医薬品と処方箋医薬品以外の医療用医薬品に分けることができる。

日本で使用されている薬「医療用医薬品」は全部で15000種類くらいあります。

その中で大きく二つに分けることができます。

  1. 処方箋医薬品
  2. 処方箋医薬品以外の医療用医薬品

数は半々で7500程度になるそうです。

ほんの
ほんの

逆に考えると処方箋なしでも購入できる薬が半分以上あることにビックリしました。

簡単に説明すると

【処方箋医薬品】処方箋として調剤薬局で販売
【処方箋医薬品以外の医療用医薬品】処方箋なしでも薬局で販売可能

つまり零売薬局では、処方箋なしでも販売できる【処方箋医薬品以外の医療用医薬品】を取り扱っているのです。

零売薬局で販売できる【処方箋医薬品以外の医療用医薬品】とはどんな薬があるの?

ぼくでも知っているような有名な薬の多くが処方箋医薬品以外の医療用医薬品となっていました。

ロキソニン、カロナール、ムコダイン、ミヤBM、ワセリン、ベトネベート軟膏、など簡単?な風邪薬や痛み止め、湿疹などに対する薬は【処方箋医薬品以外の医療用医薬品】となっていることが多いです。

気になる薬がある場合は医療薬のデータベースを確認したり(https://www.pmda.go.jp/index.html)今日の治療薬などを確認しましょう。

「ちょっと風邪をひいた」「花粉症で鼻水が辛い」「運動をして足を痛めてしまった」程度の病院に行くまでもないけど市販薬よりは使用したことのある医療薬が欲しいという人にとってはありがたい零売薬局ですね。

零売薬局のメリットはわかった。でも問題点やデメリットはないの?

もちろんメリットがあればデメリットもあります。

厚労省も苦肉の策として通知を出しています。

処方せん医薬品等の取扱いについて(https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/sankou_03.pdf

簡単にまとめると

  1. 必要最低限の数量
  2. 調剤室で保管と分割
  3. 販売記録の作成
  4. 患者の薬歴管理の実施
  5. 薬剤師の対面販売をする
処方せん医薬品以外の医療用医薬品の取扱いについて

処方せん医薬品以外の医療用医薬品の取扱いについて

厚労省としてはできることなら医薬品全てを管理して自分のところの財源確保したいでしょう。しかし昨今の働き方改革、人材不足、そもそも財源圧迫。など多くの問題が絡んできて泣く泣く手放している印象です。

病院の現場でも待ち時間に対する問題は山積みですからね。

医療事務のクレーム対応。受付での患者さんの苦情を処理する方法。
病院で働いているとクレームや苦情を言ってくる患者さんがいます。高齢者が増え続けるにつれて「病院でのクレーム」は増えています。そんな時はどんな対応をしたらいい?クレームを言ってくる患者さんの気持ちは?まずはお詫びをすることが大事です。
病院の受付時間を延長したけど収益は変わらない。仕事時間が増えるだけ。
患者数の削減を食い止めるために病院の受付時間を延長したら良いのではないか。と言うアホみたいな本当の話が会議で議論されて、結果的に夕方診療がスタートしました。 受付時間が夜間まで延長。 最初、経営会議だか理事会で受付時間延長の話が出ていると聞いた時に「これはまずいな」と感じました。そもそもの議論は外来...
リフィル処方箋で医療費と混雑緩和。2020年の診療報酬改定で今度こそ。
リフィル処方については診療報酬改定のたびに議題に上がっていますが、今回も議題に上がってきました。 今日はそんなリフィル処方箋についてまとめておきます 毎年議論に上がるリフィル処方とは? 診療報酬改定のたびに議論に上がるリフィル処方箋とは、受診で発行される処方箋1枚で数ヶ月繰り返し使用が可能な処方箋の...
ほんの
ほんの

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)やオンライン診療、話題になるリフィル処方など頑張ってはいますが一般に浸透しているとは言えませんからね。

で、1番のデメリットは薬剤師に全責任が行くことです。

やる気のあるバリバリタイプの薬剤師にとっては自分の裁量で患者さんに適切な薬を渡すことができる零売薬局はとてもいいでしょう。

しかし、多くのサラリーマン気質のモチベーションの低い薬剤師とっては負担がとても大きい。医師の処方箋に沿って薬を管理するのとでは大きな違いですからね。

本日のまとめ

日本初、処方せんなしで医薬品が買える零売薬局チェーンの誕生
セルフケア薬局株式会社のプレスリリース(2019年8月30日 09時00分)日本初、処方せんなしで医薬品が買える零売薬局チェーンの誕生

ぼくが知らなかっただけで以前から零売薬局は存在していました。

この流れが加速するのか、厚労省が違う施策(リフィル処方など)を進めるのか注目するポイントですね。

医療事務、病院事務にとっては大事な外来診療の収益が減少するので患者さんは多い方が良いに決まっていますが、長すぎる待ち時間問題も見逃せないです。

どう転んでも良いように対策を考えていきましょう。