医療事務になるまで日当点や日当円なんて言葉は知りませんでした。恥ずかしい。
でも、日当点や日当円は病院事務なら知っておく言葉です。
働いている病院の日当点や日当円を知っているのと知らないのでは雲泥の差です。多くの病院で経営指標のひとつにしていますからね。
医療法人運営をするにあたり病棟や診療科の指標に日当点や日当円があります。リハビリ病棟なら日当円30,000円/人とか、急性期一般病棟なら日当点4000点/人などです。
これは施設基準の有無で数字の前後があるので一概には言えません。おおよそです。
もちろん、ぼくが働いている病院でも使用しています。
今日はそんな日当点や日当円について書いてみたいと思います。
病院における日当点とはなんだ?
日当点(にっとうてん)とは、医療経営の指針の1つです。医療機関で1日あたりの点数を算出することを言います。
日当点を算出することで各病棟で1患者あたりどのくらいの点数を1日に算定しているかを把握することができます。
急性期一般病棟で日当点が高ければ手術や検査が多い(診療密度が濃い)と考えることができます。この数字をもとに今後の病院運営を考えていく必要があります。
日当点は病床稼働率とも密に連携しているので、病床稼働率が低くても患者あたりの点数が高ければ(診療密度が高い)日当点は高くなります。
病院によっては日当点よりも稼働率やベット回転率を大事にしている場合もあります。
あくまで指標の一つになりますね。もちろん高ければ高い方が良い。
日当点と日当円の違い。似ているから注意しましょう
日当点と日当円は名前が似ていますが中身は違います。なので、必要な情報がどちらなのか事前にリサーチしておく必要があります。日当点に対して日当円は何でしょうか?
「点」と「円」の違いです。
日当円とは、点数ベースではなく円ベースで考える指標のひとつです。円ベースで考えるので有料室代や文書料なども算入したトータルベースで考えることになります。
経営数字を把握する中で日当点・日当円のどちらを重要視しているのかは病院によって違います。両方を算出してパーセンテージを出しているところもあります。
日当円をどこまでを数字に落とし込むかは病院によって違うのも面白いところですね。
日当点は点数で算出するので診療報酬に対する配分がわかるのに対し、日当円は金額で考えるので自費分も含めたトータルで算出します。
これもどちらが正しいとかではなく病院の経営指標のひとつです。
ぼくの働いている病院では両方を算出しています。めんどくさいです。
日当点や日当円は知れば知るほどおもしろいですね
地域包括ケア病棟で考えましょう。
地域包括ケア病棟入院料を仮に3000点とします。これが大きく上回っているのであれば人工腎臓(人工透析)や手術が多かったと考えることができます。
逆に下回っている場合は60日超えなど長期入院の患者さんが多くベットの回転率が低かったと考えることができます。
急性期一般病棟は出来高算定なので手術や検査を多くすれば日当点は上がります。しかし回復期病棟の転床待ちで検査や手術など何もしない患者さんがいれば下がっていきます。
日当点を毎月算出することでその病棟の概要が把握できるようになります。
外来では診療科によって点数が大きく違うので算出後の考え方が違います。ぼくの働いている病院の外来に関してはざっくりとした算出のみをしています。
日当点や日当円を知れば病棟の収益もわかる
病棟の日当点や日当円を知ることで病院全体の収入がみえてきます。
地域包括ケア病棟の日当点を例にとって考えてみましょう。
細かい加算などもありますが計算しやすいように3000点とします。
地域包括ケア病棟入院料では包括病棟なので一人あたりの病院では大きく変わる理由はありませんね。
なので、地域包括ケア病棟で50床ある病院で稼働率が80%だったと仮定すれば、
- 50床×30日×80%=1200(稼働ベット数)
- 1200(稼働ベット数)×3000(日当点)=3,600,000点(36,000,000円)
と計算することが出来ます。
50床ある病院の月間金額は3600万円!
本当は稼働率が80%なんて低い病院はないでの実際はもう少し高くなるでしょう。
本日のまとめ
働いている病院の日当点や日当円について知るのは悪くありません。調べてみると面白いですよ。
今回は地域包括ケア病棟で例にしましたが、ほかの病棟でも同じように計算することができます。急性期病棟は出来高なので手術の件数などで大きく変わります。
今日は医療事務というより総務や経営企画などの部署よりの話でした。
平スタッフの一般職員に日当点や日当円などは関係ないと考えるかも知れませんが、このような数字を意識しながら働くかどうかで成長に差がついて行きます。
偉くなって役職者になってから勉強してはもったいないですからね。
日々頭をぐるぐる回して考えながら働いて将来に備えていきましょう。