医療事務で避けたいのはレセプトの査定や返戻です。
医療事務のレセプト担当者は査定や返戻にならないようにしっかりとレセプト点検を行い対策をします。
査定や返戻になると病院は収入が減るので当然ながら無い方が良いです。査定や返戻がゼロにできる医療事務があるのであればその人は引く手あまたでしょう。
今月の返戻を確認していると珍しい返戻がありました。
なんと!!返戻なのに増点なのです。
返戻とは、社会保険支払基金や国保連合会などの審査期間が「これちょっと問題ありませんか?確認してください!!」とレセプトを病院に返すことを言います。
なので増点のレセプト返戻はレアケースなのです。
今日はそんな増点のレセプト返戻が起こった理由について書いておきたいと思います。
基本的に返戻は減点されるもの。良くて現状維持です。
ぼくの働いている病院では保険証に関する返戻が多いです。
保険証には返戻になるポイントがたくさんありますからね。
- 資格喪失後の受診
- 限度額適用認定証などの特記事項の不備
- 公費医療の自己負担の部分
- 生年月日や性別等のレセプトとの不一致
クリニックなどで診療前に確認できる方法を採用していればもう少し防げるのかもしれませんが、再来受付機を採用しているので保険証の確認は診察後、受付に戻ってきたタイミングで行います。
しかし受付とても忙しいんですよね。
保険証の確認をするだけでなく、会計・新患患者さんの対応・問い合わせ対応。などなど、とっても忙しい時間があります。
医療事務の受付スタッフが全員ベテランでスムーズに対応できればいいのですが、中には経験の浅いスタッフもいます。なのでどうしても完全なチェックを行うのは難しいです。
返戻は修正して翌月再請求できるので病院としては収入が数ヶ月遅れますがしっかり対応すれば大きなマイナス要因にはなりません。
大きく増点される珍しいパターンのレセプトの返戻でした。
で、今回の返戻です。
入院で手術を行う病院では10万点を超えるレセプトも多いです。10万点を超えるレセプトは特にチェックを厳しくしないといけませんね。
しかし、今回の増点の返戻はそんな高得点のレセプトでした。
整形外科の骨折手術では骨折部を接合するプレートやスクリューを多く使用します。ワイヤーなんかも使用しますね。
これらは材料と言います。整形外科のレセプトでは非常に高得点になります。
手術の術式よりも高得点になることも多いです。今回は、その材料が違うんじゃないですか?って親切に教えてくれたのです。親切!!
スクリュー・プレート・ワイヤーなどの材料を間違えて算定していたのはこちらのミスです。
なのに親切に返戻で教えてくれた。うれしい!!
なので正しい材料で再請求を行うことができます。結果的に3万点も増点になります。病院的には30万円以上の増収になります。これは大きい!
ぼくが働いている病院では整形外科の手術では術前後のレントゲン画像と術誌を提出しています。
過去に材料の査定があったからです。症状詳記をつけるようにしています。ちゃんとスクリュー入れているよ!!って教えるためです。
それが功を奏して?審査医から返戻がありました。まぁ、材料なので増収にはなりますが増益にはそんなになりません。
初再診の返戻なんかは絶対ない。
今回はこちらのミスにも関わらず増点の返戻があったわけですが基本的には増点の返戻はありません。
初診で算定できる患者さんに対し再診で算定していても増点になる返戻はありえません。
レントゲンで左右別に算定できるのに両方算定していても増点の返戻なんてありえません。
審査機関がわざわざ「このレセプト増点になるんじゃね?」と考えて返戻してくれることはありえません。
今回は症状詳記を添付していたのでうれしい増点の返戻になったのです。
本日のまとめ
医療事務でレセプトに携わっている限り増点のレセプト返戻の可能性はあります。
しかし今回のように3万点も増点になるようような返戻はなかな出会えないと思います。
今回は使用した材料が術式にも絡んでくるものだったので審査期間としても仕方なく返戻をしたのでしょう。
無駄に思えるレントゲンの出力や術誌のコピーも今回のようなことがあれば報われるでしょうね。本来であれば、査定や返戻は少ない方がいいに決まっています。
できればゼロがいいです。そもそも材料の間違いなんて恥ずかしい限り。同じ間違いをしないように対策をしていきたいと思います。