医療機関で働くぼくにとって大きなニュースがありました。それはグーグルとメイヨークリニックが提携するという話。
すごく簡単にまとめると
アメリカ最大手総合病院のメイヨー・クリニックが電子カルテなどの医療データをグーグルクラウドに保存し、グーグルはその中からビックデータを活用しAIの発展などをする。
というものです。
メイヨークリニックはクリニックと書いてありますがメチャクチャ大きな病院です。日本で言えば徳洲会グループよりも大きいです。つまり日本で一番患者さんを抱えている病院よりも大きな病院がグーグルと提携をしたということです。
今日はこのグーグルとアメリカの大手総合病院メイヨー・クリニックの提携について今後の流れなどについて書いておきます。
医療データは個人情報とプライバシーがあるのでテクノロジー進化が遅れている領域である
ぼくたち医療従事者は患者さんの個人情報などを無闇に公開してはいけません。と病院で言われています。入職するときに同意書を書かされるような病院もあります。
自分の病歴や疾患が他人に多く広まることを恐れたり不安になったりする気持ちはわかりますね。
このような個人情報保護の観点、プライバシーの規制があったりして医療業界はこの10年間でテクノロジー進化が遅れている分野になりました。
トヨタなどの自動車産業やブルーカラーと呼ばれる仕事の多くは今や労働集約型の産業とは言えなくなってきました。コンピューターが進化したおかげで大量の人員を工場に配置する必要もなく24時間稼働ができるようになりました。生産性の向上。
しかし、医療産業は今でも完全な労働集約型の産業のままです。
一部で電子カルテ、ロボットリハビリ、ロボット手術、画像データAI解析などが入ってきましたが、はっきり言って大きな成果を出しているとは言えませんね。
紙の紹介状に微妙な依頼では何もわからない。
医療事務でさえ他院からの紹介状をもらったところで「何これ?」みたいな状態なのに、メチャクチャ忙しい医師が外来受診時にそれを読んだところで有効な情報になっているとは言えないでしょう。
検査データーのコピーとかもあるけどね。ここでぼくが言いたいのは昭和なのかな?ってことです。
こんなレトロなやりとりをしている時点で医師の働き方改革なんて推進しないよね。医師の働き方改革により地方や僻地の医師が不足する!ピンチ!!なんて言われていますが「そりゃそうだ」と言わざるを得ません。
グーグルとアメリカの大手総合病院メイヨー・クリニックの提携は医療業界の大ニュースだと思った。
日本全国にある徳洲会グループよりも大きな病院であるアメリカの大手総合病院メイヨー・クリニックの医療データをグーグルが活用する。
メチャクチャインパクトがありますけどね。あまり話題にもならなかったような気がします。ぼくの職場でも話している人はいませんでした。
グーグルは医療データがメチャクチャ欲しかったのでしょう。上記にも書いた通り医療ヘルスケアの分野はなかなかビッグデータが揃わない分野でしたからね。
それがメイヨークリニックとの提携で揺りかごから墓場までのデータが揃うことになります。文字通り出生情報から死亡情報までです。
この情報が揃い活用されるのが5年後なのか10年後なのかわかりませんがスタートしたのは事実です。
こうやって気がついたら医療の分野までグーグルに制圧されるのでしょうね。
日本の皆保険制度の弊害とそれでも勝つための方法はレセプトデータしかない。
最後にこのまま時間が経過すれば医療データもアメリカに頼らざる得ない状態になります。今だってそうだけですが。
日本もたくさんの資源があるのになかなか活用できていませんね。なんせ日本は世界でも類をみない超高齢化社会がやってきます。
今後は先進国を中心に少子高齢化の波がやってくるでしょう。そのモデルケースとなる可能性がたくさんあるのですけどね。
日本は皆保険制度が素晴らしく機能しているのでレセプトデータからも十分な情報が集められる可能性があります。保険外診療の問題などもありますが。
社会保険支払基金がコンピューターチェックの比率を高めているところですが国保とも連携してビッグデータ収集の場としていけると考えています。介護保険として切り離したことで難しくなった部分はあるでしょうけどね。お役所主義の弊害。
一人で興奮してこうやって筆をとっているわけですが、ぼくは変化は正義だと考えています。変わろうとして失敗してもダメだったという結果を得ることができます。
医療とITの分野は過去の診療報酬改定を見ていても分かるとおり、日本の医師会、厚労省など決定権がある人たちの中に詳しい人がいないのではないでしょうか。